2014 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの感情制御の生理的文化的基盤ーフィードバックへの脳神経反応の文化比較ー
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24330195
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
平林 秀美 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (90261718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感情制御 / 心の理論 / 脳波 / 実行機能 / 文化 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、感情制御課題の実験手続きについて海外研究協力者と詳細な打ち合わせを行い、課題の日本語版プログラムを作成し、実験の準備が完了した。また、感情制御に関する質問紙の日本語版の準備も完了した。大学の研究倫理委員会の審査を経て研究開始の許可がおり、日本での本実験及び質問紙のデータ収集を開始することができた。来年度も引き続きデータ収集を行い、脳波測定課題及び行動課題のデータ分析を進める。 感情制御能力の重要な予測因として、他者理解が挙げられる。近年の文化比較研究における子どもの心の理論の発達の文化差に着目し、日本の子どもの他者理解能力を、感情理解課題、心の理論課題から検討した。本年度の研究参加者は、幼児40人 (男児 14 人、女児 26 人)、平均月齢は62.30ヶ月(男児 60.57ヶ月、女児 63.23ヶ月)であった。日本の子どもは、自己と他者の区別を理解する能力が遅いために心の理論課題の通過率が欧米に比べて低くなると予測した。心の理論課題では、他者の心的距離をコントロールした2つの条件(友達条件と見知らぬ他者条件)を設定した。 本年度のデータにこれまで実施した友達条件のデータを加えて分析した。その結果、心の理論総合得点、自己とは異なる信念課題、他者の誤信念課題,事実とは異なる信念課題において、見知らぬ他者条件のほうが友達条件よりも得点が高くなった。このことは、日本における相互協調的自己観を示唆する結果である。さらに詳細な分析を行い、平成27年度アメリカでの心理科学学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に用いる課題の再検討及び実験準備(日本語版プログラムの開発等)に時間を要したために、予定よりも少し遅れている。 感情制御課題の開発は、海外研究協力者のDennisと打ち合わせを重ねることにより完成させることができ、本実験を始めることができたので、目標の達成のために特に問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に用いる課題の再検討及び実験準備(日本語版プログラムの開発等)に時間を要したために、研究の進捗が予定よりも少し遅れているが、本年度すでに本実験を開始することができた。本年度に引き続き、次年度も本実験を実施する。 本実験も5歳から6歳の子どもを対象に実施しているが、やはり5歳の子どもの中に集中力が続かない、動いてしまって脳波測定課題がうまくいかない場合があった。研究参加者の募集を6歳の子どもを中心にし、課題実施中は休憩や気分転換を図るなどの工夫が必要と思われる。
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Causes of Carryover |
研究開始時の予定よりも進捗が少し遅れているため、本実験のデータ収集を次年度も引き続き実施する予定である。そのため、人件費及び謝金として、次年度使用する必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究参加者への謝金及び実験補助者の人件費として、使用する。
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[Book] 発達心理学特論2015
Author(s)
平林秀美,荻野美佐子,小野けい子,中澤潤,都筑学
Total Pages
294(69-84)
Publisher
放送大学振興会
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