2013 Fiscal Year Annual Research Report
地域での高齢者のうつ予防の心理教育プログラムの開発と支援体制の構築に関する研究
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24330202
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
日下 菜穂子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (70309384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 教授 (40217328)
成本 迅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30347463)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者 / うつ病 / 認知行動療法 / 予防 / 社会系心理学 |
Research Abstract |
当該年度の研究目的は、a) 地域におけるうつ予防ガイド作成・配布、b)認知行動療法に基づくうつ予防のための心理教育プログラムの改良、c) うつ予防プログラムのファシリテーターの育成システムの構築、d) 地域における高齢者のうつ予防プログラムの実践、e)プログラムの効果測定のための高齢者向け心理的Well-being尺度の開発、f)小地域における介入効果の測定の6つである。 それぞれの目的に対する実績は、a)うつ予防のガイドはリーフレットとして作成し、地域への配布とインターネットからのダウンロード可能なシステムを立ち上げた。また、リーフレットの内容を実際に取り組めるような動画もホームページ上で閲覧可能なシステムとし、うつ予防の理解を促すことを試みた。b)認知行動療法に基づくうつ予防のための心理教育プログラムの改良については、幅広い対象に実施可能なように手続きを修正した。グループワークの教材作成や資料の作成により実施手順も簡略化し、効果を検証している。これまでの取り組みに関しては、鬱の重症度別の効果を検証した論文として発表した。c)ファシリテーター育成のためのマニュアル作成を行った。また、実際のプログラムへの陪席の機会を通した研修も実施した。d)地域高齢者を対象としたプログラム実施に加えて、刑務所の受刑者を対象としてプログラムを実施した。それぞれに、事前と事後の効果の測定、さらに半年後のフォローアップ調査を実施し、介入効果を検証する。e)効果測定のための高齢者向け心理的Well-being尺度の開発は、高齢者への質問紙調査を追加で行い、高齢者における妥当性を検証した。その結果は国際学会で発表した。f)小地域における介入効果の測定については、現在は専門職とボランティアへの講習を実施しプログラムによる介入体制の構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標としてたてた6つの研究課題:a) 地域におけるうつ予防ガイド作成・配布、b)認知行動療法に基づくうつ予防のための心理教育プログラムの改良、c) うつ予防プログラムのファシリテーターの育成システムの構築、d) 地域における高齢者のうつ予防プログラムの実践、e)プログラムの効果測定のための高齢者向け心理的Well-being尺度の開発、f)小地域における介入効果、のうち5つについては予定通りの進行状況によりほぼ達成できていると考えられる。6つ目の招致委での介入とその効果測定に関しては、自治体、関係諸機関との連携の都合上から、次年度以降の課題として継続している。そのため、達成度は(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、①生きがい創造プログラムの改良、②プログラムのファシリテーター育成システムの構築、③高齢者のうつ予防プログラムの実践、④プログラムの効果測定のための高齢者向け心理的Well-being尺度の開発、⑤対象車別の介入効果の測定、⑥2011年度以降のプログラム修了者の追跡に寄る効果の持続の検証。さらに追加プログラムを修了者に実施し、プログラムの効果の持続のための介入法の開発を試みる、の6つの課題について取り組む方針である。 具体的には、地域での実施に加えて、刑務所、大学、学校等でのプログラムの実践を行い、それぞれの場所でのマニュアルを作成することで、さらに広範囲での応用可能なプログラムへと改良を加える。また、ファシリテーター育成にあたり、マニュアルの利用や教材の使用により、多くの人が容易に実施できるようにする。研修だけでなく、インターネットなどを活用し、プログラムの実施方法を広く伝える工夫を行う。 実施地域での介入体制の構築、ファシリテーター要請、実践過程の報告、効果測定という一連の取り組みを、アクションリサーチとして論文にまとめ、発表する。マニュアルは生きがい創造教室の内容を大学生対象に修正したプログラムについて、ワークの手法や理論をまとめファシリテーションのガイドブックとして書籍化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、地域でのプログラムの介入のための啓発活動を実施する予定であったが、自治体の行事の都合で当該年度中の実施が難しくなった。 地域での介入の手順としては、住民への周知を測る目的でチラシ制作、広報、啓発活動のための講演会開催を計画していた。しかしその会場となる場所の確保が困難であったことから、予定を次年度以降に繰り越した。そのため、予定していた施設利用費や市民講座開催のための予算は、今年度中に使用することはなく、次年度に繰り越すこととした。 当該年度に予定していた、地域における広報活動の予算として使用する。 地域でのプログラムに参加する高齢者の勧奨に、チラシ制作、市民講演会の開催、回覧等を通じて広報活動を行う。講演活動の講師謝礼、広報宣伝費用として次年度使用となった予算を活用する。
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Research Products
(6 results)