2012 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設入所児に見られる諸問題の成因に関する研究
Project/Area Number |
24330203
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
森 茂起 甲南大学, 文学部, 教授 (00174368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 究 神戸大学, 大学院・医学研究科医科学専攻, 准教授 (20273790)
福井 義一 甲南大学, 文学部, 准教授 (20368400)
安梅 勅江 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (20201907)
海野 千畝子 兵庫教育大学, 人間発達教育専攻, 准教授 (30584875)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 社会的養護 / 児童養護施設 / 子どもの心理的・社会的・行動的問題 / 子育ち環境 / 子育ち環境評価(HOME) |
Research Abstract |
平成24年度は、25年度から始まる本格的なデータ収集のための準備を行った。(1)調査用紙の作成:日本語に訳した『児童養護施設子育ち環境評価尺度」(思春期前期HOME施設版)を試行的に実施し、研究者および児童養護施設のメンバーによって検討し、最終版を完成した。それと並行して、質問紙調査に用いる個人票および測定尺度の検討を行った。尺度は、国内外の約600以上の先行研究論文を参照の上、最終的に13尺度を選定し、児童の成績、入所以前の生育歴などの情報を施設で記入する個人票とあわせて、児童用・職員用(A & B)・施設長用を完成した。児童用調査用紙は小学生版と中学生版にわけ、発達年齢や興味にあわせて答えやすいようデザインした。職員用Aは担当児童に関するもの、Bは職員自身に関するものである。職員用Bと施設長用はオリジナル項目とポルトガルUniversidade do Minhoチームが開発したものとを組み合わせた。(2)ネットワークの形成:地域差のバイアスがかからないデーターを得るため、ネットワークづくりを行い、兵庫県16施設の他、愛知県1施設、東京都5施設から協力を得ることになった。また、研究デザインおよびデーター分析と、今後海外に向けた発表の際のアドバイスを得るため、英国オックスフォード大学のDr.Jennifer Lauとの協力体制を築いた。(3)パイロット調査:年度末に1施設においてパイロット調査を実施した。その経験に基づいて現場での注意事項や収集手順、スケジュールなどを明記した「データー収集マニュアル」を作成した。(4)施設を出た子どもの追跡調査の準備的検討。(5)施設職員への情報還元:分担者、安梅の講演、協力施設関係者向けのワークショップを開催し、HOMEに関する知識も含め、本研究の理念やインタビュー手法について周知した。本研究プロジェクトを「C.H.E.R」と名付け、児童養護や子育ちの最前線の情報を共有するための、「C.H.E.R.だより」(甲南大学発信)の準備を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般家庭児との比較を実施しないことにした点は当初の計画と異なるが、申請書交付時の研究目的と仮説にあわせて質問紙を作成することができ、子育ち環境評価尺度の施設版の最終版も完成することができた。25年度からの本格調査の準備がほぼ整った状況から、予定通りに進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度:思春期前期HOME施設版の作成と使用尺度の決定を踏まえ、8-16歳児童に向けてデーター収集・分析を行い、得られた結果の発表に向けて準備する。一般家庭児との比較を行わないこととしたが、日本で標準化された尺度のみ使用するため、結果の分析に基本的な変化は生じない。児童養護施設の現状把握のために欠かせない課題として、退所児童の追跡調査を新たに付け加えた。26年度:前年度の結果の学会発表、論文化を行いながら、HOME施設版を用いた介入実践方法を検討する。乳児用HOME施設版の作成を検討する。27年度:今後の課題の検討、学会発表、論文化、協力者や社会への還元、等をほぼ予定に従って実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度中のパイロット調査がすべて完了せず、一部25年度にずれ込んだためである。少額であるため大きな使用計画の変更はない。
|
Research Products
(5 results)