2013 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設入所児に見られる諸問題の成因に関する研究
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24330203
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
森 茂起 甲南大学, 文学部, 教授 (00174368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 義一 甲南大学, 文学部, 教授 (20368400)
安梅 勅江 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20201907)
田中 究 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20273790)
海野 千畝子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (30584875)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的養護 / 児童養護施設 / 子どもの心理的・社会的・行動的問題 / 子育ち環境評価(HOME) |
Research Abstract |
平成25年度の研究活動の中心は、6月11日~8月31日の期間に行った大規模なデータ収集である。平成24年度中に作成した調査用紙およびデータ収集マニュアルを用い、兵庫県の17施設において、計460名の子どもの調査を行った。秋よりデータの整理、分析に入り、記述的統計量の整理、いくつかの指標に関する相関分析等を行った。その過程で、英国キングス・カレッジのDr. Jennifer Lauの協力を得た。基本データを平成26年6月の世界乳幼児精神保健学会(WAIMH)で発表するため、発表内容の整理に基づき、発表申し込みを行い、発表が受理された。 平成24年度に作成した「児童養護施設子育ち環境評価尺度」(思春期前期HOME施設版)を、兵庫県及び関東地域の児童養護施設によってさらに試行的に使用した。日本版マニュアルを作成するため、英語版の翻訳をもとに、日本における試行的使用の経験に基づいて内容の検討を進めた。平成25年度中にほぼHOMEの完成を見た。 これらと並行して、海外において、本研究の経験に基づき日本の養護施設の現状および本研究の内容を発表し、海外の研究者との問題意識の共有、情報交換を行った。具体的には、10月にスイス、ベルンで開催されたFederation for International Child Education(FICE)におけるシンポジウムでの発表、および11月にドイツ、フランクフルトのSigmund Freud Institutで行った講演である。 平成26年度9月に予定されている、国際子ども虐待防止学会(ISPCAN)において行う本研究に基づくシンポジウムを計画した。HOMEの開発者Dr. Robert Bradleyを招へいし、本研究の研究分担者および本研究にかかわる児童養護施設の代表者で構成されたシンポジウムである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り25年度中に大規模調査の実施を行うことができた。HOMEの作成をほぼ完成に導くことができた。HOMEマニュアルの第1稿は完成したが、細部調整を経た完成版作成は26年度に持ち越された。前年度に研究課題として追加した退所児童の追跡調査については実施することができず、26年度に持ち越された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの体制を維持し、計画通り推進していく。平成25年度中に得たデータの分析をさらに進め、学会発表および学術雑誌への投稿を行っていく。すでに予定されている学会発表(WAIMH)およびシンポジウム(ISPCAN)を成功に導く。また後者の機会に招へいするDr.Bradleyを交えた本研究チームおよび児童養護施設の協力者メンバーによる研究会を開催し、HOMEの理解水準を高め、今後の介入実践の構想につなげる。今年度に持ち越された退所児童の追跡調査を開始する。また、現在までの研究過程で児童養護施設関係者から要望が出ている乳児用HOME施設版の作成について検討する。平成27年度には、今後の課題の検討、学会発表、論文化、協力者や社会への還元、等をほぼ予定に従って実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の一名がとくに年度後半に個人的事情で研究に従事することができなかったため、経費使用の調整が遅れたため、プロジェクターの購入等を次年度に繰り越した。 プロジェクターは、今年度購入する。それ以外の繰り越し分は研究計画全体の充実のために使用する。本年度は、調査の継続、海外学会の参加、海外からの研究者招聘、それに伴う研究会の開催などの大きな事業があるため、繰り越し分を有効に使用することができる。
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Research Products
(3 results)