2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24330205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩入 諭 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70226091)
松宮 一道 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (90395103)
徳永 留美 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (80573914)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚情報処理 / 色 / 輝度 / 運動 / 心理物理 / 脳活動計測 / フィードバック / 相互作用 |
Research Abstract |
視覚情報の特徴要素信号のうち,色と運動の相互作用および,速い運動と遅い運動の相互作用について,心理物理学的手法および脳活動計測を用いて研究を行った.具体的には,2つの特徴要素(色/輝度または速い運動/遅い運動)の一方により作成された運動図形に数十秒順応したあと,2つの特徴要素の運動図形を呈示する実験を行った.反応時間や脳活動の変化を調べることにより,順応前の運動図形の観察が順応後の運動にどのように影響するかを調べることができる.その結果,経路として独立していると考えられている色と輝度の運動信号は,視覚野の広範囲で相互作用をしていることが明らかになった.色の図形は各被験者の等輝度で作成しているため,輝度の運動メカニズムによる反応が生じているとは考えにくい.実際に,脳活動の時間的変化を詳細に調べると,色の運動に対する順応後の脳活動は,輝度の運動と相互作用を生じる時間帯がテスト刺激の呈示からごく短時間(3秒程度)であることが確認された.同様の傾向は速い運動と遅い運動の相互作用においても見られた.遅い運動に対する脳活動は,色や図形に対して選択的に情報処理をしていると考えられている後頭葉腹側部(第4次視覚野を含む)において選択的な順応効果を示した.これは動きのスピードが遅い場合,色の運動と同様に,図形的パターンとしてまず脳内で情報処理が行われた後,その時間的変化が運動として捉えられた可能性を示唆している.同時に,その情報がより初期の視覚野にフィードバックされ,色と輝度/速い運動と遅い運動の信号の相互作用を生じている様子を示唆する結果を得た. また,脳活動計測を用いた色情報の脳内における原始表現に関する実験を行った.その結果,初期視覚野において中間色に選択的な脳活動の存在が確認される成果を得る事ができた.さらに,乳幼児の色カテゴリーに関する高次領野からの脳活動を記録する実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究推進の一端を担う計画であった博士課程の大学院生(留学生)が課程の半ばで帰国し,実験の実施など研究の実質的な推進に時間が掛かるようになったため.年度の後半から非常勤の実験補助者を雇用し,その不足分を補うように務めた.その結果,若干の遅れにとどめる事ができたが,全体の進捗の遅れは否めない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までの研究で得られた色/輝度および速い運動/遅い運動の相互作用メカニズムに関する仮説について詳細に検討するため,平成26年度はよりサンプリング時間(TR)の短い脳活動計測や,フィードバック信号を阻害するような方法を用いて実験を行う.また,これまでに得られたデータを共分散解析など別の方法で解析し直す事によって,領野間のフィードバック/フィードフォワードに関する知見を得る事を目標とする. これらの実験や解析を進めつつ,これまでに得られた成果の外部発表に務める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究推進の一端を担う予定だった大学院生の中途退学により研究遂行の人的資源が減少したことにより,研究推進の速度が停滞したため.特に,利用料を支払う予定だった脳活動実験の回数が減少したことにより,研究費の執行に遅れが出た. 人的資源の不足を補う目的で非常勤の実験補助者を雇用するなどの費用に充当する予定.
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