2012 Fiscal Year Annual Research Report
海外にルーツがある文化的に多様な子ども達の表現活動を中心とした学習共同体の研究
Project/Area Number |
24330223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石黒 広昭 立教大学, 文学部, 教授 (00232281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 かおり 朝日大学, 経営学部, 講師 (70421237)
藤野 友紀 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (60322781)
舘岡 洋子 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (10338759)
宮崎 隆志 北海道大学, 教育学研究科, 教授 (10190761)
内田 祥子 高崎健康福祉大学, 短期大学部, 講師 (60461696)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言語的多様性 / 文化的多様性 / 海外にルーツがある子ども / 自己表現 / パフォーマンス / 学習 / 移民 / インフォーマル学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は多様な文化的背景を持つ海外にルーツのある子ども達の「自己表現活動」を中心とした協働学習実践を調査し、これらの子ども達の学習を動機付ける学習活動を理論化することである。2012年度は当初計画にそって、1.国内ではそれらの子ども達が参加している学習支援活動団体と協働し、子ども達の言語使用状況調査、放課後学習支援活動の観察、自己表現のためのワークショップを行い、2。海外では、アメリカ合衆国・アマーストとサンディエゴの日本語継承語学校、ニューヨークのユースの表現活動、サンディエゴの英語学習児童支援活動、カナダ・トロントの日本語継承語学校を訪問し、観察調査と実践者面接、さらに支援研究者との研究交流を行った。 国内実践団体の調査では、実践者の持つ学習観、発達観が子ども達に対する支援のあり方にとても大きな影響を与えていることがわかった。インフォーマルな学習支援活動は学校と違い、教科書やカリキュラムなどの共通事項がなく、実践者の選択に任されるため、実践者個々の教育哲学や支援力量が学校以上に子ども達に直接影響する。また、実践者は日本の学校的教授学習モデルをインフォーマルな学習支援の場にそのまま持ち込み、このことが日本の学校に必ずしも適応的ではない子ども達にとって難しい状況を作り出している。インフォーマルな場において、子ども達に適切な学習支援を行うためには、学校をモデルとしない新しい活動モデルが必要である。その試行として初年度は北米の研究協力者によるボアールの演劇理論を取り入れたユース・ワークショップを行い、自らの過去を振り返る介入研究を行った。今後パフォーマンスの持つ学習活動との関わりなども検討されることになる。 海外調査はほぼ予定通り進行し、具体的な学習支援実践を構成する上で必要となる実践哲学とネットワーク管理の手法を学び、実践研究のあり方について多くの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、国内の一団体と協働研究をすることだけが予定されていた。しかし、多様性を持つ子ども達に対する支援もまた多様であるため、多くの異なるタイプの実践団体を調査することで、支援のバリエーションとそれぞれに対応した学習効果を把握する必要がある事がわかり、その方向に組織を修正した。このため、当初一団体に対して三つの調査グループを立てたものを改め、地域別に担当者を置き、国内外の実践団体の学習支援状況を科研メンバー間で分担して把握するように組織変更を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では国内の一団体だけとの協働研究を志向していたが、実践活動には多様性があり、一団体の調査では限界があることがわかった。そのため、今後は国内の支援団体、海外の日本語継承語学校とできるだけ多く連携し、性格の異なる多くの実践団体の動向を把握することで、子ども達の学習支援活動を理論化していくこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実践者が主体的に相互連携することができるカンファレンスの場を組織し、そこを中心に、会議参加前と後を含めた長期の実践団体のフィールドリサーチを行う。国内ではこのために予算が主として使われる。海外では、日本語継承学校の調査と介入研究、海外研究協力者との連携のために予算を使用する。さらに、国内外の学会、研究会で成果報告をするために予算を使う。
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Research Products
(15 results)