2014 Fiscal Year Annual Research Report
海外にルーツがある文化的に多様な子ども達の表現活動を中心とした学習共同体の研究
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24330223
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
石黒 広昭 立教大学, 文学部, 教授 (00232281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 隆志 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10190761)
舘岡 洋子 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (10338759)
藤野 友紀 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (60322781)
松井 かおり 朝日大学, 経営学部, 准教授 (70421237)
内田 祥子 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 講師 (60461696)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多文化 / マルチリテラシー / 自己表現活動 / 発達 / 学習共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
「自己表現活動」を中心に、多様な文化的背景を持つ海外にルーツがある子どもたちの発達を促す学習活動の調査を行い、理論化を進めた。以下に実施された主な活動を記す。 1.第2回支援実践者会議(2nd POD)の開催:2013年度立教大学大会に続き、2014年度には群馬県伊勢崎市教育委員会の後援を受けて、同市で海外にルーツを持つ子どもたちの学習支援を行っているNPO団体と共同で第2回POD会議が伊勢崎市で実施された。今回は当事者である子どもたちが多く参加し、支援者を中心とした第1回大会とは異なる交流があった。2.岐阜県可児市で継続的に実施されている多文化演劇プロジェクトのフィールド調査を行い、演劇の発達促進機能について検討した。 3.日本、カナダ、アメリカ合衆国において海外にルーツを持つ多文化多言語に生きる子どもたちを対象にミュージアムワークショップを実施し、その共通特徴と差異を検討した。このワークショップでは仮想地域博物館に自分が展示したい作品を製作する。これは地域コミュニティの中にそれぞれの個人が自分をどのように位置づけているのか確認するアイデンティティワークである。 4.演劇を発達支援活動として導入する先進地域として、ニューヨークのAll Star Project、ニューヨーク市立大学応用演劇学科の活動に参加し、自己表現活動としてのパフォーマンスについて資料収集を行った。5.実践者に寄り添ったフィールドリサーチを進めるため、「協働的エスノグラフィー」や「ヴィジュアルエスノグラフィー」の手法について検討した。6.研究成果は日本教育心理学会で報告され、その後論文にまとめられた。研究、実践の成果はほとんどのものが科研専用ホームページに日英語で掲載されており、世界のどこからでも確認できる状態にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は多様な文化的背景を持つ、海外にルーツのある子ども達の「自己表現活動」を中心とした協働学習実践を調査し、これらの子ども達の学習を動機付ける学習支援活動を理論化することであった。現在それに向けて日本、カナダ、アメリカ合衆国の支援実践団体との間で協働活動が順調に進められている。自己表現活動の発達促進機能の理論的検討においては、パフォーマンスの専門家と協力関係を築く必要があるが、国内外の演劇関係者(日本、アメリカ合衆国、スウェーデン)とネットワークが形成されつつある。さらに、演劇パフォーマンスだけでなく、作品作りを通したアイデンティティワークとして「ミュージアムワークショップ」と呼ぶ新しい活動形態を創出した。国際移動する子どもたちが世界規模で増加している現状において、その子たちの学習と発達に関する理論化とその支援に向けた活動プログラムの開発が必須であるが、現在そのためのインフラが整いつつある状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は本研究プロジェクトの最終年度であり、これまでの研究成果のとりまとめとその成果の実践への還元を行う。研究成果は学会、研究会で報告される。研究プロジェクト外の研究者と実践者から批判的意見を聞き、課題の整理と深化を目指す。その一部は論文としてまとめられる予定である。当該の子どもたちや支援団体との協働パフォーマンス活動を行い、調査データをさらに蓄積するとともに当事者にとって有用かつ楽しい活動となるような支援活動プログラムを考案する。成果はホームページにおいて公開され、同じような実践を行う支援者にも利用可能なものとする。2016年度以降の第2期研究プロジェクトの展開に向けて、継続調査と理論深化のための研究会を実施し、その後の研究計画を準備する。
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Causes of Carryover |
調査現場の予定が変わり、旅費を含む調査執行計画が変わったため。また、専門的知識を提供してもらう予定であった話題提供者の日程が変わり、謝金計画に変更があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に現場調査と外部研究者を交えた研究会を実施することにより使用する。
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Research Products
(18 results)