Research Abstract |
平成24年度は,次の問題に取り組んだ. (1)kを代数体,Fをその2次拡大とするとき,F上のGL(3)をkに制限した群をGとするとき,GxGL(2)は3次のエルミート行列の対の空間に作用する.この空間は,3次行列の対の空間のk formであり,k上の3次体とFの合成体のhR(類数とレギュレーターの積)をパラメータ化する空間として知られている.雪江は以前,3次対称行列の対の空間の大域ゼータ関数の極の構造を決定したことがあるが,それとほぼ同じ方法でこの空間の大域ゼータ関数の極の構造がほぼ決定できたようである.現在論文を作成中であるが,主な結果は次のように述べることができる. (a)Z(s)を大域(アデリック)ゼータ関数とすると,Z(s)は全平面に有理型接続でき, s=0,2,6,8,10,12,16,18で極を持つ. (b)(a)での極の位数はそれぞれ1,1,3,1,1,3,1,1である.特に,s=18での極の位数は1である.3次対称行列の対の空間の場合には,一番右の極は2位の極で,それは4つの対称からなっていて非常に難しかったが,この場合には,2つの1位の極よりなり,そのうち,2次体よりの貢献と思われる部分は近い将来,Davenportの方法を使って,分離して3次体の貢献の部分を決定できるのではないかと思われる.これは引き続き研究する予定である. (2)概均質ベクトル空間の局所理論についての研究(一部は田嶋和明との共同研究)を継続中である. G=GL(2)xGL(2)xGL(2),Vが2次行列の対の空間の場合には,p進整数環上の軌道の代表元の候補は決定できた.そのなかから軌道の正確な代表元をとりだすことはまだ達成できていない.同様の考察を3次対称行列の対の空間の場合にもした.この場合にも代表元の候補は決定できたが,軌道の正確な代表元をとりだすことはまだ達成できていない.
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