2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340006
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宮西 正宜 関西学院大学, 数理科学研究センター, 客員研究員 (80025311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 佳代 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40280416)
小島 秀雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90332824)
岸本 崇 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20372576)
黒田 茂 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70453032)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ユニポテント群 / アフィン直線 / アフィン平面 / 局所べき零導分 / del Pezzo曲面 / 自己同型写像 |
Research Abstract |
本研究の目的の一つである,高次元アフィン代数多様体の構造を,アフィン直線束やアフィン平面束,または加法群や乗法群を用いて調べることについては,研究代表者と研究分担者である増田佳代がインド・タタ研究所のR.V. Gurjarらと協力してかなりの進捗を見た.加法群の作用は導分の一種である,局所べき零導分によって記述されるが,それ以外にも近縁の性質を持つ導分または代数多様体上のベクトル場を調べることによって,3次元アフィン代数多様体の場合に基礎理論を構築した. 二番目の目的である,対数的極小モデル・プログラムを応用した射影的代数多様体のシリンダー構造については,研究分担者の岸本 崇が4次元射影空間の3次超曲面の場合を調べた.このような超曲面は有理的でないことが知られているが,小平次元がー∞であるアフィン曲面束をもつ場合がある.束に属する曲面はアフィン直線のシリンダーをもつが超曲面自身はアフィン直線のシリンダーをもたない.この機構は部分的に解明されたが.完全な解明は今後の課題である.研究代表者は,この結果の一般化として,アフィン直線束をもつ代数曲面の対数的変形を調べた.また,岸本崇はdel Pezzo曲面と呼ばれる射影的代数曲面のアフィン錘がアフィン直線のシリンダーを含むかどうかを調べた. 研究分担者の小島秀雄はピカール数が1の正規del Pezzo曲面を研究した.このような曲面は非特異del Pezzo曲面の退化と考えられるのか,特異点をもつ特別な曲面であるのかを解明する必要がある. 研究分担者の黒田 茂は3次元アフィン空間の自己同型群の部分群に関する研究の一環として,加法群G_aの多項式環上への作用を多項式の最高次の項(initial form)で表現することを考えている.また,wildな自己同型写像の例である,永田自己同型写像を正標数の場合に拡張を図っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで開代数曲面で得られた結果を,ファイブレーションを持つ場合に拡張する試みを行っているが,かなり有効な方法であることが示されている.特に,アフィン直線やアフィン平面のファイブレーションを持つ場合の代数多様体の構造を研究する幾何を,新たに,ユニポテント幾何と呼ぶことを提唱しているが,その内容がおぼろげにではあるが浮かび上がりつつある.現在は主として3次元の代数多様体を対象にしているが,今後は一般次元の場合も調べることが重要である. このような代数多様体の構造が分かってくるにつれて,代数多様体の自己同型群の構造を調べることが課題になってくる.平成26年7月に京都大学数理解析研究所で「Algebraic Varieties and Automorphism groups」と題する国際研究集会を開催する.ユニポテント幾何に関するこれまでの研究は,この国際研究集会の準備作業の一環でもある.研究集会には約20名の外国人研究者が参加する予定で,参加者のの協力を得て,研究の規模と質を拡大・向上することを期待している.すでに,代数群の作用に関するspherical varietyの理論やflexible varietyの理論と興味深い重複と関連が生じている. 国際集会の報告集(査読つき)を刊行する予定である.論文の募集,査読,質疑応答などを通じて研究が一層深化することが期待される.国際研究集会にはフランス・ロシア・インドの若手研究者が数名参加する予定であるから,世代間の引継ぎも目的の一つである.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題で定めた研究目的に沿って今後の研究を展開する.既に述べたように,基礎理論の骨格は見えつつあるので,その改善と改良を図る必要がある. 上欄で述べた国際研究集会報告集の刊行は大きな目的の一つになる.メールを通じた質疑応答はもちろん行うが,直接議論する必要が生じると思われる.そのために,外国で開催される研究集会を中心に外国人研究者を訪問して議論する.ドイツ,ロシア,フランス などを目的国として考えている. 平成26年度は国際研究集会に注力しなければならないので,これまで開催してきた「アフィン代数幾何学研究集会」は休止または小規模化しなけらばならないが,再び,従来と同じ規模で継続する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年7月に京都大学数理解析研究所で約20名の外国人研究者を招待して国際研究集会を1週間開催する.国内滞在費,講演謝金,渡航費用の一部補助などの経費のために,2013年度の使用額を留保して2014年度と合算して使用する. 上述の国際研究集会「Algebraic Varieties and Automorphism Groups」の開催に,ロシア4名,スイス2名,カナダ1名,インド3名,ドイツ1名,アメリカ1名,フランス4名,シンガポール1名,他数名の約20名を外国人参加者として招待する.また,日本人研究者も相当数の出席が見込まれる.外国人参加者の経費(上記)の他にも種々の会議運営費用が見込まれる.
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Research Products
(24 results)