2013 Fiscal Year Annual Research Report
スカラー曲率とアインシュタイン計量の幾何解析・大域幾何
Project/Area Number |
24340008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
芥川 一雄 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80192920)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微分幾何 / 幾何解析 / スカラー曲率 / アインシュタイン計量 / 山辺不変量 |
Research Abstract |
平成25年度における「研究の目的」は,1.特異空間上の山辺の問題,2.リッチ・フローによる退化したアインシュタインの計量の研究,3.佐々木・アインシュタイン計量と異種球面の山辺不変量の研究,の3つであった. 研究目的-1に関しては,G.Carron氏およびR.Mazzeo氏との共同研究で,staratified空間を一般化した (測度距離空間とは限らない)確率空間上の問題までに拡張して,Aubinの不等式の確立やジェネリックな場合の山辺の問題の可解性などを示した.また, 山辺の問題の解の正則性に関してはいくつかの成果を得ているが現在も研究中である. さらに, 山辺の問題をedge-cone空間上(特にedge-coneアインシュタイン空間上)に特化した研究は山辺不変量の研究との関連において重要であることが分かった.山辺の問題の非可解性の結果などが得られているが現在進行中である. 研究目的-2に関しては,この1年は知識獲得のための学習・研究連絡に集中し,依然研究中で, 残念ながら特に新しい研究成果は得ていない.しかし, 上記のedge-coneアインシュタイン計量との関係において,リッチ・フローの研究は非常に重要となることを認識した. 研究目的-3に関して,佐々木・アインシュタイン計量の山辺定数は一般に非常に小さいことが小野肇氏との共同研究で判明し,この計量による山辺不変量の下からの評価は有効ではない,と言う否定的な結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異空間上の山辺の問題は当初の計画より,格段に進展した.すなわち(距離構造を持たない)測度空間の上で山辺の問題が定式化,Aubinの不等式の確立,その可解性の証明などを証明した.さらに, edge-cone空間などの特殊な特異空間上の山辺の問題は山辺不変量の研究に非常に重要であることも分かった. 佐々木・アインシュタイン計量による山辺不変量の研究は,否定的な結果であるが理解を深めた. それ以外の研究目的は,予定通り必要な知識の獲得のための学習および研究連絡を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も海外の専門家を招聘しWorkshopを行うとともに,頻繁な研究連絡を行う.また「佐々木・アインシュタイン計量と異種球面の山辺不変量の研究」の研究は,否定的な結果を得て研究計画の変更が必要であることを認識した.今後「特異アインシュタイン計量族と山辺不変量の研究」と言う目標に変えて研究を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外招聘者の往復旅費の自払い,および研究代表者芥川の複数回の海外出張時における先方機関による滞在費の支給により,次年度への繰越・約650,000円が生じた. 平成26年度は,平成25年度より大規模のWorkshopおよび追加の小研究集会を行い,主にその開催経費に使用する予定である.
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Research Products
(8 results)