Research Abstract |
反応拡散系に現れるパルス状局在パターンについて,解のダイナミクスが領域の形状や境界条件など,いわゆる外部からの影響により,どのように依存するかを様々な視点から考察することを目標の一つとしているが,特に今年度は,曲がった幅の狭い2次元領域におけるパルスの運動2次元領域の境界上にその中心を持つ尖塔状解の運動,および境界条件を課した1次元区間上の問題におけるパルス解の運動などを調べた.その結果,幅の狭い領域の場合は,領域の中心線の曲率に依存してパルスが運動することを証明し,さらにその結果を進行パルスに拡張することにより,曲率の大きい箇所は通り抜けにくくなることなどを示すことができた. 一方,境界上における尖塔状解の運動に関しては,境界の曲率の高い部分に向かおうとする運動を厳密に導出することができ,その応用として,曲率の局所的に高い箇所があるとその近傍に複数の尖塔状解が集合した形の安定パターンが存在しうることを示すことができた. 最後に,1次元区間上の問題では,境界条件にパラメーターを導入し,解のダイナミクスのそのパラメーターに関する依存性を調べることで,境界の解に与える影響を考察した.その結果,境界条件によっては全く逆の運動が出現し,その2つの運動の間を,導入した1つのパラメーターで分岐論的に大域構造をとらえることに成功した.一つの応用として,境界条件のみを変えることにより,区間上の任意の位置にパルスの中心を持ってくることができることを理論的に示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行う予定で唯一できなかった,曲面上のパルスの運動に関しては早急にその解析を終え,論文の投稿準備に入る予定である.実際ほとんどの計算は終了しており,現在数値シミュレーションのための確認を行っているところである.それ以外は当初の計画通り,2年目のテーマへと入っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
チュートリアルなど学生教育に関連する部分で本学GCOEと一部目的が重なる部分があり,そうした場合にGCOE予算を学生の謝金等に充てたことにより,本研究予算からの謝金等の支出がなく,2万円弱の次年度に繰り越す予算が生じた.来年度からはそうした措置はできなくなるため,来年度不足すると思われる人件費・謝金予算に今年度の繰越予算を充てる予定である.
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