2013 Fiscal Year Annual Research Report
滑らかでない確率微分方程式の理論:数値解析への応用
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24340022
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 次郎 立命館大学, 理工学部, 教授 (50309100)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シミュレーション / 確率微分方程式 / ジャンプ型モデル / Malliavin解析 / 確率変数 / Multi-levelモンテカルロ方法 / 密度関数 / BSDE |
Research Abstract |
以下の4つのテーマで研究を進めた。1.滑らかでないSDEの密度関数の性質・シミュレーションへの応用:昨年度得られた結果について、Fourier変換の各点の性質によって滑らかでないドリフトを持つ確率微分方程式の解の密度関数のHolder性質について研究を行い、偏微分方程式の立場からも新しい結果が得られた。さらにジャンプ型確率微分方程式に関しても係数が滑らかでない場合についても研究を始めた。このためにparametrixと呼ばれる解析方法を確率過程の言語で書き換えてジャンプ型過程に利用する。2.Multi-levelモンテカルロと最適輸送問題:1次元の確率微分方程式の解に関して最適輸送問題の設定で以下の結果が得られた。通用のEuler-丸山近似のLp評価において、オーダーが1/2であるが特別な確率空間が存在し、その空間では2つの確率過程が存在する。また、それぞれの時間の分割点では解の近似の分布が同じであるが、オーダーが2/3である。この結果は応用の意味より、現在存在するシミュレーション方法(Lpの意味で)より優れた方法が存在することを意味する。滞在時間の近似に関してMulti-level Monte Carlo(MLMC)のために誤差を調べた。この結果によってMLMCの利用について制限があることが分かった。3.BSDEの近似問題:Hilbert空間上のBSDEの近似について検討した。特にHilbert空間のSDEに関して近似方法を定着し、その方法に関してのDual方法の設定や証明ができた。4.Filteringのシミュレーション方法:Bayesian推定に関してLp評価を利用し、前の結果よりわかりやすい証明ができたが、収束オーダーが悪くなった。また、Filtering問題の近似として、Picardが証明したFilterの近似オーダーより良いオーダーの証明ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「Multi-level モンテカルロと最適輸送問題」と「Filteringのシミュレーション方法」のテーマでは非常に順調に進んでおり、新しい展開を発見したので今後は、その方向で全面的に研究を進める予定としている。しかし、このことによって「BSDEの近似問題」のテーマではやや遅れが出る可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の4つのテーマで研究を進める。 1.拡散係数が滑らかでない場合において、SDEの解の密度関数の存在について研究を進める。そのためにいくつかの応用例で具体的な計算を行い、今後この方向でKrylov氏による結果より強い結果を証明することを目指し、いくつかの違う方法も試す。特にParametrixやFourier解析方法についても検討する。この証明方法は、様々な確率過程に適用できると考えているため、編確率微分方程式やFractional Brownian Motionへの応用も考える。この2つの例では無限次元のMarkov過程であるためParametrix方法を利用しながらFlowの概念を使い書き換えを行う。 2.運送問題に関して多次元でも可能であることについて検討する。この場合、Lp評価が通用の結果より収束オーダーが良い場合、応用の観点から非常に影響があるため、具体的なシミュレーション方法についても検討する。まず、Wasserstein距離が時間と共に動くことを考慮し、そのDynamicsについて検討する。 3.Hilbert空間の設定でも行った上で、BSDEの近似が可能で、さらにその収束性質を調べたいと考えるが、先行研究成果を見ると簡単な問題ではないため近似方法を変更することも検討する。 4.Filteringへの近似問題:Lp評価の証明の作成を終結し、中心極限定理を基にした結果についても検討する。弱収束の概念を使うことにより、収束オーダーが良くなると考えているが、このような問題ではFilterが編確率微分方程式の解であり、その係数が時間に対して滑らかではない。そのため、上記の1.とのテーマとの関連性も考慮し、この件に関して将来の研究テーマとして遂行可能か検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先方の諸事情のため外国人研究者の招へい時期が、26年度に延期となった。また、研究発展のための、研究会の発表を26年度に延期したため。 大部分を国内外の研究会発表のための出張費、招へい研究者の旅費ととして使用する。また、資料(図書・ジャーナル等)の購入や、シミュレーションのためのパソコン本体やソフトを購入する予定としている。
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Research Products
(25 results)