2015 Fiscal Year Annual Research Report
漸近的に平坦な計量をもつ空間における非線型波動の大域挙動の解明
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24340024
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
久保 英夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50283346)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 聡一郎 和歌山大学, 教育学部, 教授 (70283942)
高村 博之 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (40241781)
星賀 彰 静岡大学, 工学部, 准教授 (60261400)
中村 誠 山形大学, 理学部, 教授 (70312634)
土井 一幸 富山県立大学, 工学部, 講師 (80608331)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 非線型波動方程式 / 漸近的に平坦な計量 / 時間大域解 / 解の爆発 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
計量が平坦なミンコフスキー時空における非線型波動方程式に対する初期値問題の大域可解性やその大域解の漸近挙動は既に詳しい解析がなされているが、計量が平坦ではない場合の研究はこれまで不十分であった。そこで本年度は次のような研究を行い、この未解決問題を解明していくための基礎を構築した。まず、計量の摂動による効果を調べることは外部問題の解析と密接な関係があることから、外部問題の解の挙動を精密に捉えることを試みた。これにより空間２次元における外部問題の解の最適な評価を導くことに成功し、論文として纏め出版した。さて、計量の摂動が未知関数の導関数に依存する場合、これまで空間２次元では、線型化方程式のローレンツ対称性に付随するベクトル場を用いることが必須とされてきた。しかし、計量が変数係数であれば、方程式の対称性は限られてしまい、従来の手法は修正が必要である。本研究では、波動の伝播方向と密接に関係する零フレームという手法を巧みに応用することで、ローレンツ対称性によらない新しい解析手法を開発した。これにより計量が漸近的に平坦な時空における波動伝播の解析が進展することが期待される。
また、膨張する宇宙のモデルであるド・ジッター時空における波動がどのように伝播するのかを調べた。本研究では、ハッブル定数とも関係する物理定数がある閾値を超えると、エネルギー空間における散乱理論を構築できることが明らかになった。これは、膨張する宇宙モデルでは波数が減少し、結果として波動が自由場に漸近しやすいという描像とも符合しており、興味深い内容と思わる。これに関連して、ミンコフスキー時空において消散効果をもつ非線型性について議論し、解のエネルギー減衰について新たな知見を得た。
加えて、解の爆発を示す時に用いられる解の積分量に関する加藤の不等式を、解の最大存在時間の最適な上限を同時に与え得るように本質的な改良を行った。
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Research Products
(15 results)
