2014 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線偏光気球観測による非熱的放射機構と構造の解明
Project/Area Number |
24340039
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
國枝 秀世 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00126856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 譲 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10135296)
幅 良統 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60377950)
松本 浩典 名古屋大学, 現象解析研究センター, 准教授 (90311365)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線天文学 / X線望遠鏡 / 気球観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では硬X線望遠鏡は名大、偏光検出器はワシントン大、気球ゴンドラ+姿勢系はNASAゴダード研究所が担当している。当グループでは25年度までに最も時間のかかる硬X線望遠鏡を完成させた。加えて姿勢決定系として昼間カメラを製作した。これらを2013年8月~9月の気球打ち上げ基地の現地において気球ゴンドラ、鏡筒に組み込み相互のアラインメトを取った。具体的には、スターカメラをシム等は介さずにベースプレートに直接固定、望遠鏡光軸とスターカメラ視線方向の相対位置測定を望遠鏡ルックアップカメラを用いて調査、望遠鏡ルックアップカメラとスターカメラで同時に星空を撮影することで望遠鏡/スターカメラの相対方向を決定、GPS等で求めた粗い姿勢を用いて詳細姿勢決定、気球CPUに返答する一連のプロセスの確認、星見で得たデータから3方向のカメラの相対方向を計算等を実施した。 フライトレディーになった後、2014年9月24日にFt Samnerから気球の飛翔を行った。朝打ち上げ、日没前に気球を切り離し、パラシュートで軟着陸させ回収を行った。観測運用は姿勢系確認の後、予定の観測を実施することにした。姿勢系データ、観測データの解析を現在進めており、2015年度中にその結果をまとめることにしている。着地後は現地に赴き、望遠鏡を回収することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、気球による硬X線撮像偏光観測を目指している。25年度までに名大の担当部分である硬X線望遠鏡と昼間星カメラを完成させた。26年度はそれらの特性測定を行った後、NASAゴダード研究所へ持ち込み、気球に搭載した。更に気球打上げ基地では光学軸合わせを行いフライトレディにし、当初の計画どおり9月24日のフライトに至った。気球実験においてはすべての機器が揃い、打ち上げに到達すると言う今年度の目標を達成したことは、「おおむね順調に進展している」と評価して良いと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
このフライトで得られたデータを解析し、基本的な機器の動作確認を行う。今回のフライトでは、星カメラのデータが不調であったが、これが光学系、構造系、信号系のいずれに問題があったかを明確にする必要がある。同時にカメラ以外の姿勢検出系のデータを解析し、大まかな姿勢を決定し、それらの相関から概略の姿勢の履歴を求める。次に姿勢制御系への伝達、フィードバックの確認を行う。一方、硬X線望遠鏡については無事に回収されており、フライト最後の着地時点での衝撃による結像性能への影響を調べる。またフライト中、および地上で回収までの間の表面汚染の有無を確認する。残念ながら、27年度には気球飛翔計画の実行は困難だと思われるが、上記のデータ解析、機器の性能再測定などにより、本研究計画に続く今後の気球観測計画に、回収した硬X線望遠鏡の再使用、昼間カメラの改良、姿勢検出系、姿勢駆動系などの再構築に向けて、本研究の成果を引き継ぐ上で重要だと考えている。最終的にはこれを論文などの報告書としてまとめて行く。
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Remarks |
硬X線撮像気球観測実験のシリーズとして、InFOCuS、SUMIT、X-Calibarがあり、その全体がまとめてある
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Research Products
(2 results)