2012 Fiscal Year Annual Research Report
高精度偏光観測で初めてえられる、量子論的ハンレ効果を用いた太陽彩層磁場構造の研究
Project/Area Number |
24340040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
鹿野 良平 国立天文台, SOLAR-C準備室, 助教 (70321586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 雅仁 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 助教 (80425777)
勝川 行雄 国立天文台, ひので科学プロジェクト, 助教 (00399289)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 太陽物理学 / 国際協力 / ロケット / プラズマ / ハンレ効果 |
Research Abstract |
彩層・遷移層磁場測定を目指す日米欧観測ロケット実験CLASP (Chromospheric Lyman-Alpha Spectro-Polarimeter)のため、本研究で"真空紫外線用偏光分光装置開発"と"ハンレ効果によって偏光線輪郭から磁場診断する手法の検討"を行っている。 前者についてまず、偏光分光装置の光学調整手法の検討を行った。大気に吸収されるライマンα光の最終光学調整は真空中で行う必要があるが、試験時間とコストを最小化するため、実際の回折格子と溝間隔のみが違うアライメント用回折格子を用意することで、可視単色光(He-Neレーザ)を使って多くの調整を大気中にて行っておく手順を編み出した。また、飛翔中に空力加熱されるロケット外表面からの輻射の影響も、熱数学モデルを用いて検討し、極端に悪いロケット温度の想定(120℃)でも、観測装置との間に金属板一枚「サーマルシールド」を挟むことで、観測装置の温度上昇は5℃以内に納まることが判った。軽量化のために構体の一部で使用しているアルミについて、その熱変形が光学性能を劣化させないことが明らかとなった。そして、偏光分光装置で実際に使用するスリット鏡等の光学素子のライマンα用反射コーティングも実施し、十分な性能を持つ素子が完成した。 他方、後者・磁場診断手法の検討について、日米欧のCLASPチームによる科学会合にて、太陽大気構造起因の偏光と磁場起因の偏光(ハンレ効果)とを分離する手法を議論した。そこで、ハンレ効果が表れる輝線中央部とともに太陽大気構造のみ依存する輝線周辺部を計測すること、偏光分光観測するスリット領域とともにスリット周辺の彩層をCLASPの2次元撮像光学系にて取得すること、彩層~コロナの分光観測を行うNASA IRIS衛星と協調観測を行うこと、といった必要な手段が確認できた。また、IRIS衛星との協調観測の重要性から、CLASPの飛翔はIRISの観測条件が悪い11月~2月を避けることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はNASA観測ロケットを使用した実験計画であるが、通例9月頭には判明するNASAロケットの使用許可が、2012年は11月末まで遅れたことと、2013年10月に発生した米国予算の執行停止に伴う米国側共同研究者の作業一時停止とにより、全体として半年程度後ろに平行移動して計画が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
主に米国側作業に関連して全体として半年程度後ろに平行移動して計画が進んでいる。当初平成26年冬期(12月頃)に予定していたNASA観測ロケットによる飛翔観測は平成27年春~夏に変更となるが、NASA IRIS衛星との共同観測が好条件で実施できることになり、平成27年度完了の本研究において、より確実な科学成果創出が期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施できなかったフライト品開発「高安定回転モーター用エレキ」を、本経費にて実施し完了させる。
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Research Products
(9 results)