2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
九後 太一 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (00115833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 盛光 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90108366)
久保 治輔 金沢大学, 理工研究域数物科学系, 教授 (40211213)
小林 達夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60322153)
前川 展祐 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (40273429)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超対称弦 / 超対称性粒子 / CP対称性 / 離散対称性 / ニュートリノ / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 / 最小超対称標準模型 |
Research Abstract |
九後は、超対称弦の場の理論に於けるゲージ固定の問題と、宇宙項問題に関連して近年提唱された質量を持つ重力理論におけるゴースト問題について、それぞれの研究成果を国際会議で発表した。 谷本は、LHCbにおけるB中間子のCP対称性の破れの分析からスクォークの世代混合の構造を現象論的に導き出すことに成功した。この結果、超対称性粒子の効果が低エネルギーでの物理にどの程度間接的に寄与するかが明らかになり、またK中間子のCP破れへの寄与も予言した。 久保は、離散対称性の導入によりニュートリノ質量を量子補正で初めて生成する「輻射シーソー模型」 についての研究を行なった。この模型では、ヒッッグスが二つのガンマに崩壊する崩壊幅は、田Cで観測されている標準模型からのわずかなズレを説明でき、暗黒物質が二つのガンマに対消滅する反応は、FermiLATで観測された可能性がある暗黒物質の対消滅を説明できることを示した。 小林は、超弦理論において、ヘテロ型オービフォルド模型や背景磁場のあるブレーン模型の模型構築やその低エネルギー有効理論における湯川結合の計算や対称性の解析を行なった。また、超対称性の破れの種々な現象論的性質を解析する一方で、宇宙論からの超対称模型の破れの模型への制限も考察した。 前川は、125GeVヒッグス粒子を最小超対称標準模型で実現するために必要な重いストップ粒子のためのパラメータ・チューニングを小さくするシナリオとして、ミラージュ媒介機構の一般化に成功した。また粒子生成における真空選択においても、信頼度の高い計算が数値計算の結果をほぼ再現することを確かめた。 これらの分担者達の研究活動の他、この研究計画の主目的の統一理論構築に向けた滞在型研究会、第17回「Summer Institute 2011」を2012年8月18-24日の7日間台湾のSun Moon Lakeで開催し、日本から68名、韓国から15名、台湾・中国から52名、欧米・インド・タイから10名、計145名の参加を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度のSummer Institute 2012は台湾での開催であったにもかかわらず、日本全国から60名を越える若手中心の研究者が参加し、台湾や韓国を中心としたアジアからの70名近くの参加研究者たちと共に、活発な研究討論を行った。全国的・国際的共同研究が着実に行われており、当初計画の予定通りの達成度である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、富士吉田ないしアジアでSummer Instituteを企画・開催し、この研究分野の研究者を全国的・アジア的にかつ有機的に組織し、実り多い共同研究・研究協力を推進するということを続けていく。2013年度のSummer Institut紀の開催地は、韓国のJirisan Hanwha Resortに決まった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月に基礎物理学研究所で開催した研究会に参加予定の研究者に対して旅費補助を予定していたが、その研究者が急遽参加をとり止めたため、その予算が次年度使用額に回った。その分は少額なので、次年度も基本的に当初の予定通り、Summer Institute 2013への研究者派遣旅費を中心とした経費に合わせて使用する。
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Research Products
(21 results)