2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340051
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高橋 智彦 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (10324956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 功 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60399433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 弦理論 / 弦の場の理論 / タキオン凝縮 / ゲージ対称性 / 古典解 |
Research Abstract |
弦の場の理論における古典解とゲージ対称性の関係、およびそこに見られる理論構造を理解することによって、弦理論の非摂動的な性質を明らかにすることが研究の目的である。この目的のために、解析的手法による研究と数値計算による研究を相補的に組み合わせて、弦の場の理論の古典解についての研究を行った。 数値計算による研究に関しては、研究代表者が所属する研究室にあるクラスタ計算機システムに計算ノード1台を追加拡充し、数式処理ソフト Mathematicaを導入した。Mathematicaの導入により、今まで作成したプログラムとデータを活用できる環境が整備された。これらの計算環境の整備は、弦の場の理論におけるレベル28の数値計算を行うために必要なものであった。このシステムを活用して弦の場の理論の数値解析を遂行しており、研究計画の達成に向けて、プログラムの改良およびデータ構築を行った。 解析的手法による研究に関しては、マージナル変形された背景上の弦の場の理論についての前年度研究に基づき、単位弦場と単位超弦場に基づく古典解に対するゲージ不変オーバーラップを解析的に計算することに成功した。この結果が数値解析による真空構造の解析結果と整合していることも確認し、解析的手法と数値計算の相補的な研究によって実現された成果となった。 これらは単位弦場に基づく手法とKBc代数に基づく手法を融合した新しい手法を用いた結果であり、さらなる応用が期待できる意義のある成果である。単位弦場に基づく古典解に対する物理量は10年以上の間、厳密に計算することが不可能であったが、我々の研究結果はこの問題を解決する画期的な成果である。また、単位弦場に基づく古典解に現れる発散に対してある種の正則化法の存在が示唆され、単位弦場に基づくタキオン真空解にとっても重要な意味をもつ結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成に向けて、大容量メモリをもつクラスタシステムの改良、数値データの収集、単位弦場に基づく古典解に対する計算可能な物理量の研究、これらを相補的に用いた弦の場の理論の研究、という点において計画を進展させることができた。これらの点は、本年度の研究実施計画にある主要な部分であり、研究の進捗状況は良好であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
計算システムを運用して、弦の場の理論における様々な古典解についてレベル切断法を用いて解析する。特に、タキオン真空解の切断レベルを世界最高レベルからさらに引き上げることを目指したデータ構築を行う。また、我々が開発した新たな解析的手法を、単位弦場に基づくタキオン真空解に適用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
クラスタシステムの維持と管理などのために雇用していた非常勤研究者が一身上の都合により退職されることとなったが、年度途中から後任者を採用することが難しく、使用予定だった約半年分の人件費が未使用となった。 新たに採用する非常勤研究者の人件費の一部とする。また、非常勤研究者が不在だった期間の研究を補完するために、クラスタシステムの効率的な運用のための物品費、弦の場の理論における専門的知識の提供を受けるための謝金、情報収集を行うための旅費、などに使用する計画である。
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Research Products
(4 results)