2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340060
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
早川 岳人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (70343944)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
静間 俊行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究主幹 (50282299)
藤 暢輔 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (60354734)
梶野 敏貴 国立天文台, 理論研究部, 准教授 (20169444)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | s過程 / AGB星 / アイソマー |
Research Abstract |
太陽系に存在する約290核種のうち、天体起源(核反応及び、天体環境)が不明な核種は8核種である。その8核種のうちの一つがSn-115である。この領域の核種は中性子捕獲反応とベータ崩壊によるs過程ないし、r過程の後の中性子過剰領域からベータ崩壊で生成される。Sn-115を除く核種(同位体)の太陽組成は、これらの元素合成過程で説明できる。しかし、0.34%の同位体組成を持つSn-115の起源については不明であった。申請者は、Cd-113アイソマー経由の元素合成が良く考慮されていないことに気がついた。これまで、Cd-112からCd-113のアイソマーへの中性子捕獲反応断面積が計測されておらず、それが無視できるほど小さいと仮定されていたためである。仮に、この反応断面積が有意な量を持つ場合には、Cd-113アイソマーからSn-115が生成されることになる。そこで、本研究では、熱外中性子領域で、中性子ビームを用いてCd-112から中性子捕獲反応によるCd-113の基底状態とアイソマーへの生成比を測定する。ANNRIを用いて中性子照射実験を平成25年度に行う予定であったが、J-PARCのハドロン実験設備の放射性物質の被ばく及び外部への拡散事故のために、J-PARCは長期間運転停止となった。一方、太陽系形成時には存在していたことが明らかになっていた長寿命放射性同位体Nb-92の天体起源が超新星ニュートリノであるとの仮説を立て、ニュートリノ-原子核反応率を計算した上で、超新星爆発モデルに組み込みNb-92の生成量を計算し、宇宙核時計の計算を行い太陽組成を説明できることを明らかにした。現在、定量的に説明できるただ一つの仮説である。超新星ニュートリノがTa-180やLa-138の起源と考えられており、その寄与があるのはほぼ確実である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
J-PARCのハドロン実験設備の放射性物質の被ばく及び外部への拡散事故のために、中性子装置MLFも含めJ-PARCは長期間運転停止となり、予定されていた実験はキャンセルされた。J-PARCを使わない実験方法の検討を行ったが、研究用原子炉も東日本大地震の影響のため運転停止中であり実験を行うのが困難な状況であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
幸いなことに平成26年度の4月より、J-PARCの中性子実験装置は運転が再開されたので、平成26年度中に必要な実験を終わらせ、解析をすすめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
J-PARCが放射性同位体の漏えい事故を起こし、実験できなかったため。 平成26年度で実験を行う際に使用する。
|