2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24340061
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
宇野 彰二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (70183019)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 智久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (40435615)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 量子ビーム / 放射線、X線、粒子線 / 中性子構造生物学 / 高密度実装 / 2次元画像 / 放射線検出器 / 両面フレキシブル基板 / 高速データ転送 |
Research Abstract |
ボロンを付加したGEMをより安定的に製作するために2つのことを行った。1つ目がボロンを付加する前に、ニッケルを中間層として極く薄く付加する。2つ目のことは両面にボロンを付加する際に問題になることに関連することである。単なる薄板にボロンを両面に付加する際は問題にならなかったがGEMのように大量の穴があいているとボロン膜の密着性が低下する問題があった。これは、片面にボロンを付加している際に発生するガス等が穴を通して反対側の面を劣化させるという問題であることがわかり、片側の作業中に反対側の面をきちんと養生しておく方法をとった。この2つのことにより、ボロン膜の密着性が向上した。 中性子を荷電粒子に変換するボロンを付加したGEMの部分はガス増幅度は必要ない。そこで高価なGEMを使用せずに、別の方法で穴付きの多層構造を製作することを試みた。まず、水溶性フィルムとアルミ薄板とを積層し、穴あけを行った後に、水溶性フィルムを水に溶かして取り除く方法を試みた。穴の部分が狭く積層が少ない場合にはうまく不要なフィルムを取り除くことが出来たが、穴の範囲が広く、多層にするとフィルムを十分に取り除くことが出来なかった。現在、別の方策で同じ構造が得られるものを試そうとしている。 GEM検出器で発生する微弱信号を増幅、波形整形、波高弁別を行う特殊用途集積回路の設計を開始した。多数のストリップからの信号を小さな領域で取り扱うために1チップに32チャンネル分を実装できるように設計を進めた。 平成24年度内には、回路設計と回路シミュレーションまで行うことが出来た。シミュレーション上は、ノイズレベルが十分小さく、GEM検出器で得られるガス増幅度で、中性子の信号を十分なS/Nで測定できることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GEM以外を用いた穴付き多層構造が、当初予定していた方法ではうまく製作できないことがわかったので、現在、別の方策で行うことを進めている。高密度実装した特殊用途集積回路の設計に予想以上に時間がかかり、回路シミュレーションまで進めることができたが、実際にチップを製作するまでにはいたらなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ボロンを付加したGEMに関しては、大型化を目指す。GEMに使用する絶縁材料を代えることによって大型化しても損傷が起こりにくいものが製作できる可能性が出てきたので、その方向で開発を進める。GEM以外の穴付き多層構造は、新しいアイデアを試みる。読み出し電子回路に関しては、前年度までに回路シミュレーションが終了しているので、継続してチップのレイアウト、製作を行う。平成25年度は必要に応じて、既存の検出器を利用して開発に必要な情報をえるために、パルス中性子ビームを用いたビームテストも行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
読み出し回路の設計に予想以上の時間を要したので、回路シミュレーションまでしかやり遂げることができなかった。次年度にチップのレイアウトと製作を行う。また、そのチップを搭載した266チャンネルの読み出しボードの製作を行うので、そのため予算の一部として繰越金を使用する。
|