2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24340061
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
宇野 彰二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (70183019)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 放射線、X線、粒子線 / 中性子構造生物学 / 高密度実装 / 2次元画像 / 放射線検出器 / 両面フレキシブル基板 / 高速データ転送 |
Research Abstract |
前年度に設計した高密度実装された特殊用途集積回路(ASIC)を製作して性能試験を行った。このチップにはGEMチェンバーから発生する微弱信号を増幅、波形整形、波高弁別する機能をもった回路が32チャンネル分実装されていて、そのすべてが予定された性能を示すことを確認した。その後、このチップを8個とFPGAと呼ばれるゲートアレイが多数実装された集積回路を搭載した256チャンネル対応の高密度実装電子回路基板の開発・製作を行った。この回路基板を使用することによって、高速データ収集が実現可能となっている。 また、前年度から継続して行っている中性子検出効率を向上させる新しいアイデアであるボロン付き多孔コンバーターを製作した。前年度までの方式ではうまく製作することができなかったが今年度は仮積層してから穴あけを行い、その後、スペーサーを入れて金属板間の空間を確保する方式にして、うまく製作することができた。 多孔コンバーター、GEM、読み出し電子回路基板を組み合わせて、新しい薄型の中性子検出器を製作して、北海道大学工学部が所有するパルス中性子源を用いて性能試験を実施した。その結果は、よい位置分解能で欠けのない2次元画像を取得することに成功し、同時によい時間分解能で時間情報も取得することができた。多孔コンバーターで積層枚数に応じて、中性子検出効率が向上することを確認すると同時に、従来のボロンを付加したGEMと同程度の位置分解能が得られることも確認した。これによって、安価に信頼性のある中性子コンバーターを製作する道筋が見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子の検出効率を向上させるための多孔コンバーターの製作がなかなか難しく、予定よりも時間を要してしまった。何とか製作する方式に目処がたち、試作機で原理を実証したが、まだ十分な性能が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
多孔コンバーターに関しては、穴径、穴ピッチ、ボロン厚、積層枚数を最適化して、より高い中性子検出効率をもつ検出器の開発を行う。読み出し基板は前年度に開発したものにさらにメモリーを搭載することによって、より高速なデータ転送を実現する。これを完成させたのちに、実際のパルス中性子源での実証試験を行う。特に、J-PARCのMLF棟での試験が重要で、これまでにデータ収集レートで1.6MHzを達成しているがそれを凌駕して、3MHz程度を目指す。以前の結果は、ASICの不具合により2次元画像に欠けがあったがそれをなくすこととデータ転送が追いつかないために飛行時間分布に歪みが生じていたが、歪みの無い状態で高速性を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算の端数として、少額の繰越金が発生した。 次年度の予算と合算して有効に使用する。
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