2016 Fiscal Year Annual Research Report
Local correlation and nontrivial orders in f-electron systems
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24340072
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
倉本 義夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別教授 (70111250)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 軌道近藤効果 / 量子色力学 / 複合体秩序 / 超伝導 / 遍歴多極子 / 共鳴X線散乱 / 偏極中性子散乱 / 量子相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,研究成果の取りまとめと結果の一部公表を行った。具体的活動は,英文レビューの執筆,夏の学校での特別講義,国際ワークショップでの講演などである。レビュー論文では,非クラマース系の秩序に焦点を当てて,理論的な意義と実験的研究の現状を議論した。特に局在・遍歴複合体秩序に関して,さまざま観点からの検討を行った。 局在・遍歴複合体秩序の実験的検証に向けて,実験家との議論とサポートを行った。当初からの動機はURu2Si2で長年の懸案になっている秩序相の同定である。この相が複合体秩序である可能性に注目し,偏極中性子散乱を用いる実験がフランスで行われた。残念ながら,今のところ複合体秩序に由来するシグナルは同定できていない。 一方,4f電子の非クラマース基底状態を持つPrRu2Zn20では,0.1K以下での温度・磁場相図が研究され,奇妙な秩序状態が見出されている。上向きスピンの遍歴性が強く,下向きスピンは非クラマース自由度と結合して軌道一重項を作る可能性が示唆されている。我々は現実物質の状況に適合したモデルを構築し,実験的検証を容易にする努力を続けたい。 今後の新しい方向性を示す発展は,クォーク・グルオンプラズマにおける近藤効果に類する現象の提案である。すなわち,重イオン衝突に際して,またマグネターと呼ばれる天体系においては,超強磁場中のクォーク多体系が実現している。クォークの持つ色の自由度が擬スピンとしてふるまうので,超強磁場でも近藤効果に類似の現象が期待できる。その際,軽いクォークが電子,重いクォークは空間に固定された不純物として扱うことができる。このような系の特性エネルギーは近藤温度に対応するが,繰り込み過程には強磁場効果と相対論効果が重要なので,物性系の近藤温度とはかなり異なるパラメータの組み合わせになる。今後は,観測量への反映を具体的に求める段階にはいる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)