Research Abstract |
本年度は,研究の初年度であることから,実験環境およびシミュレーション環境の構築から手がけた。まず,液晶光バルブと光ファイバーを連結して保持するホルダーを作製し,それとレンズ等の光学部品を光学除震台に設置し,光学実験環境を整えた。次に,液晶光バルブへの印加電圧と照射光強度をパソコンで制御するためのLabVIEWプログラムを作成し,ある電圧での液晶光バルブの液晶の傾き角の光強度依存性を求めた。そして,電圧を細かく変えて光強度依存性を表すパラメーター値を求めた。これによって,計算機シミュレーションで実際の液晶光バルブを取り扱うことができるようになった。 上記の実験で,確率共鳴が発現すると見込まれる実験パラメーター領域が予測できたので,確率共鳴の観測を試みたが,実験パラメーター領域が狭いためか,確率共鳴の現象を明確に観測できていない。引き続き観測を続けるが,シミュレーションによって最適な条件の領域を探すことにした。また,ノイズの印加は簡易的に行ったので,次年度は,ノイズの種類や強度を系統的に変えるプログラムを作成して再び試みることにした。 翌年度に予定していたフォトリフラクティブ型液晶光バルブ作製の準備として,良質な光導電体結晶を購入し,その結晶に透明電極を着けるための高周波スパッタ装置を購入した。そして,適切な厚さで透明電極を着けるためのスパッタ条件を探索し,それに成功した。しかし,問題点として,透明電極膜の厚さにムラがあることがわかり,試料を回転する必要が生じた。この対策は次年度行う予定である。 本研究を社会還元する目的のため,ひらめきときめきサイエンスの活動として,「液晶科学への誘い」を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,実験とシミュレーション環境の構築に最も重点を置いており,それらがほぼ達成したので(2)と自己評価した。しかし,確率共鳴現象を観測できると期待していたが,試行的実験では確率共鳴が観測できなかったため,予定通り全てが順調に進んだとはいえない。
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