2012 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオンによる液体阻止能および生体分子(アミノ酸・核酸塩基)の電離断面積測定
Project/Area Number |
24340096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 秋男 京都大学, 工学研究科, 教授 (90243055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 原子衝突 / 生体分子標的 / 二次イオン / 電離断面積 |
Research Abstract |
本研究は、高速度イオンによる真空中液体標的の衝突現象を原子スケールで探求するもので、H24度は主としてマイクロイオンビームの液体標的への直接照射法について実験を行った。具体的には、液体ジェット用の数十μm径のノズルおよびイオンビーム用にガラスキャピラリを採用し、キャピラリを液中表面近傍に移動させてビームを液中に直接打ち込む方法を試みている。液体ジェット標的は水道水の様に連続標的ビームを対象としているが、更に液滴(droplet)の作成もH24度から開始している。同じ液体ながら表面活性度の違いが衝突過程にどのような効果を及ぼすかについての知見を得ることができ、次年度以降も引き続き継続する予定である。 また、イオンビーム衝撃による多原子分子からの分解二次イオンの精密な質量分布測定用にマルチヒット位置検出システムを購入し同時計測を行っているところである。 上記の研究はいずれも世界トップのものであり、特に液体標的に関する諸データは注目を集めているところである。 研究成果の公開として、日本物理学会(2012年9月横国大、2013年3月広島大)での口頭発表(5件)、国際会議でのポスター発表(8件)などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ガラスキャピラリ方式によるマイクロイオンビームを作成し、これを液体ジェット内を通過させる技術には真空外からの操作ということもあり困難さが予想されたが、他の実験と併行して行うことによって克服することができた
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初計画書通りの進捗で進める。特に生体分子としての気体アミノ酸からの低エネルギー二次電子の精密測定に加え、同時に生成される電子の個数を新たに測定する。半導体検出器に30kV程度の高電圧を加える方法を用いるが、成功すれば液体中での電子の挙動の解明につながるもので波及効果は大きい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二次イオンの精密測定用に必要な多チャンネル信号処理ボードを購入するには不足であったため、H25年度の交付金と合算してH25年度に購入する
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