Research Abstract |
本研究の目標は,阻石中のコンドリュールの成因に迫るために,コンドリュールの3次元形状と組成および組織の間の関係を明らかにすることである。そのために本研究初年度は,Allende阻石を対象にそのコンドリュールの3次元形状測定に取り組んだ。 まずは,コンドリュールの3次元形状の測定方法を確立することが第一歩である。コンドリュールは大きさ0.1-1mm程度の球状組織であるが,阻石中に埋まっているので,阻石片のままではその3次元形状は測り難い。これを測るためには,阻石片を破壊してコンドリュールを一粒ずつ取り出すか,非破壊のまま阻石中のコンドリュール形状測定を可能とする方法を確立する必要がある。本研究ではまず,阻石片を破壊しコンドリュールを一粒ずつ取り出すことをめざし,冷凍・解凍法を実施した。これにより,実際にコンドリュールを数十個,取り出すことができた。一方,非破壊でコンドリュール形状を測定する方法として,X線CT法も試みた。そして実際,X線CTを用いてその形状が測定できることを確かめ,数十個分のコンドリュール形状測定データを取得した。以上の通り,初年度は形状測定のための手法開発に取り組み,2つの方法が使えることを見いだした。 次に,取得したコンドリュール3次元形状データを用いてコンドリュールの形状分布を求めた。その結果,他の研究グループによる従来の予備的測定結果で得られていたものとは異なり,Allende阻石中のコンドリュールの形状には多様なものが存在し,その分布は比較的一様であることがわかった。さらにはその変形度(球からのずれ)は,理論的予測の範囲であることがわかった。ここまでの結果は,コンドリュールの3次元形状が当初の予想通り,その成因を読み解く上で重要な情報を担っていることを示唆していると思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いくつかの原因が重なったことによる。 ・作業の第一段階として試料の分解が必要であったが,分解方法の詳細の検討に時間を要した。これに限らず,研究全体が新たな試みであるため,手法の検討ひとつひとつに時間がかかった。 ・分析装置の導入に,当初見込み以上に時間がかかった。装置選定を慎重に行ったことと,入札等の手続きのため。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度はやや遅れたが,分析装置が導入され手法も確立しつつあるので,今後は当初の計画通り,試料の測定・分析を進める。特に,昨年分析したものとは異なる隕石グループのコンドリュール測定に取り組む。また,測定と分析の結果および理論モデルの議論のために,学外の研究者との協力もより一層進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に導入した分析装置の利用と能力向上のため,消耗品や周辺装置購入に使用する。また,測定・分析・理論モデルに関して学外の研究者に協力を仰ぎ,議論を行うため,そうした研究者のもとに出向く旅費・滞在費にもあてる。
|