2013 Fiscal Year Annual Research Report
コンドリュール形成過程の解明:形状・組成・組織の測定と理論計算によるアプローチ
Project/Area Number |
24340102
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中本 泰史 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (60261757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 哲也 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00467028)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンドリュール / 成因 / 形状 / 組成 / 組織 / 惑星系形成 / 原始惑星系円盤 |
Research Abstract |
本研究の目標は,隕石中のコンドリュールの成因に迫るために,コンドリュールの3次元形状と組成および組織の間の関係を明らかにすることである。本年度は初年度の成果を踏まえ,主にAllende隕石内のコンドリュールの3次元形状測定試料の数を増やす作業に取り組んだ。 コンドリュールの3次元形状の測定方法として,前年度に取り組んだ「隕石破壊法」に対し,初年度に試行してみた非破壊測定法である「X線CT撮像法」の効率が良さそうであると判断し,その解析法の確立に取り組んだ。コンドリュールは大きさ0.1-1mm程度の球状組織であるが,隕石中に埋まっているものをX線CT装置を用いて非破壊測定し,形状と組織の解析を行うことを目指した。東北大学のX線CT装置を利用させていただき,必要な解像度などが出ることを確認した。こうした効率上昇によって測定試料数が増大し,総計的議論の精度が向上することを期待している。 一方で,3次元のX線CT画像を観察することにより,内部組織の推定を行った。いくつかの特徴的な組織が観察された。たとえば,従来から知られていたバードオリビンやポリフィリティックな結晶組織からなるコンドリュールのほかに,シリケイト成分の溶融が不十分でポリフィリティックにも至っていないような状態のコンドリュール(もしくは,コンドリュールとは呼べないような球状組織)がたくさん見られた。これらは,受けた加熱の程度が弱いものと思われる。こうした組織の中には,溶融した金属鉄粒や,それら金属鉄粒同士が結合しつつあるような構造も見られた。これらは,FeSなどが先に溶けた結果と推定される。こうした組織の観察からも,コンドリュールの成因について新たな知見が得られるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,隕石を破壊することによってコンドリュールを1個ずつ取り出し,それらの形状と内部組織・組成を1個ずつ測定するとしていた。しかし,より大きく確実な成果を得るために統計的精度を上げることを目指し,試料数を増やすことを試みることとした。そのため,当初計画には含まれていなかった新しい測定法(X線CTによるバルク試料測定)に取り組んだが,その解析法の確立にやや手間取ったので,見かけ上,現時点での達成度は当初計画よりやや遅れているように見える。しかし,解析法を確立したのちは遅れを挽回した上で,当初計画よりも多い試料数に基づくより大きな成果を上げられるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目標を達成するため,コンドリュールの3次元形状の測定を新しい測定・解析法を用いて進める。当初計画よりも試料数が増える見込みであり,精度の高い結果が得られるものと考えている。 一方,当初計画にはなかった観察も新たに進める。すなわち,溶融度の低い球状組織(コンドリュール様組織)内の金属鉄粒の存在状態や結合度合いを系統的に調べる。これにより,コンドリュール材料物質全体に作用した加熱現象に対して,加熱量・最高到達温度,温度分布,継続時間,などを推定することを試みる。 最後に以上の成果を踏まえ,当初の目標通り,コンドリュールの成因を明らかにするべく結果をまとめる。また,それぞれの結果を各種の研究会・学会で発表するとともに,学術誌において論文発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画を少々変更し,測定法をX線CT装置による隕石のバルク測定を中心としたものにしたことによる。このため,新たな解析法を確立する必要が生じ,研究の進捗状況がやや遅れている。これに伴って,研究費の使用も次年度にずれ込むこととなった。 当初計画よりやや遅れてはいるが,新しい解析法を確立した後は,これまでの遅れを挽回するように作業を進める予定である。
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Research Products
(5 results)