2013 Fiscal Year Annual Research Report
地震波速度不連続面トモグラフィーによる日本列島下の3次元地震波速度構造研究
Project/Area Number |
24340103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平原 和朗 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40165197)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トモグラフィー / 地震波不連続面 / レシーバ関数 / モホ面 / 沈み込むスラブ |
Research Abstract |
滑らかな速度構造を仮定している、地震波走時トモグラフィーは、日本列島下に沈み込むスラブが作り出す複雑な3次元構造を鮮やかに描き出してきた。ところが、地殻・上部マントルには、モホ面や沈み込むスラブといった地震波速度不連続面が存在し、地震発生や火山活動に大きな影響を与える流体の存在に関連して最近注目され、地震発生シミュレーションにおいても重要な役割を果たしている。 本研究では、従来の走時トモグラフィー法では解明できなかった地震波速度不連続面の形状および境界面での速度コントラストに焦点を当て、直達波に加え、レシーバ関数および地震波干渉法によって得られる反射波といった多様な地震波フェイズを用いた、新たな地震波不連続面トモグラフィー法により、日本列島下の地殻・上部マントルの3次元地震波速度構造を明らかにし、地震発生サイクルシミュレーションの基礎的データとすることを目的としている。 以上の目的のため、本年度は、昨年から継続してF-net,Hi-net,J-array観測点から得られる遠地地震波形を収集し、レシーバ関数を作成した。また、P波レシーバ関数からPS変換時間を自動的に読み取る手法開発ならびにコード開発を行なった。更に、雑微動の自己および相互相関関数解析では、近畿・四国地方のF-net・Hi-netデータでの検討を行なった。地震発生サイクルシミュレーションモデル構築では、海底地形等の任意形状を有する地表面を持つ均質弾性体中での地震サイクル計算コードを開発した。また、八重山スロースリップ領域での地震サイクルモデルの構築を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レシーバ関数トモグラフィー法の最大のデータである、レシーバ関数に現れる地震波不連続面でのPS変換波の同定と走時読み取りを自動で行うアルゴリズムの完成と計算機コードを作成できたことは、非常に大きな研究の進展であり、順調に研究は進展していると評価できる。あとは、P波およびS波直達走時データにPS変換波走時をデータとして加え、地震波境界面を含む3次元P波、S波速度構造を推定すつ、レシーバ関数宗二トモグラフィーコードの完成を残すのみとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記にも書いたように、今後は、まず、P波およびS波直達走時データにPS変換波走時をデータとして加え、地震波境界面を含む3次元P波、S波速度構造を推定すつ、レシーバ関数走時トモグラフィーコードの完成を図る。次に、全国の手始めとして、九州地方のHi-net観測点で得られた近地地震のP波、S波直達波走時、および遠地P波走時に、レシーバ関数で得られるPS変換波走時データを加え、モホ面および沈み込むフィリピン海プレート上面を含む、3次元P波およびS波速度構造を推定したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
レシーバ関数解析データの元データとなる、地震波形ディジタルデータのダウンロードおよびデータ形跡のために確保していた人員が、他の要件で多くの時間が取れなっかた為、主として人件費が消費できていない状況が生じている。そのため、今年度は、データ量を増やすより、解析アルゴリズム・計算機コードの開発を主に研究を行なった。 現在でもある程度の結果を出せるレシーバ関数の量は確保されているが、より品質の良いレシーバ関数を得るため、次年度はデータ処理要員を増やして、データの受実を図りたい。また、大型計算機を使用して大規模計算を行う予定である。
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