2012 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯における巨大地震発生サイクルと津波生成の統合モデル構築
Project/Area Number |
24340107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
芝崎 文一郎 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (20344012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 雄士郎 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 主任研究員 (60442836)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 2011年東北地方太平洋沖地震 / 1896年明治三陸津波地震 / 津波波形逆解析 / 千島海溝南部超巨大地震 / 地震発生サイクルモデル / Thermal Pressurization |
Research Abstract |
本研究では、東北沖、千島海溝、ペルー沖等海外の沈み込み帯を対象にし、過去に発生した巨大地震の発生と津波生成の統合モデルを構築し、巨大地震の発生予測並びに津波危険度評価に資する。本年度は、主に2011年東北地方太平沖地震の津波生成モデル及び千島海溝南部における超巨大地震発生サイクルモデルの構築を行った。2011年東北地方太平沖地震について、沖合の海底圧力計とGPS波浪計、沿岸の波浪計、検潮所で記録された津波波形のインバージョン解析により、プレート形状を考慮したすべりの時空間分布を明らかにした。その結果、プレート間深部のすべりに引き続き、海溝軸付近での大きなすべりが発生していたことを明らかにした。1896年明治三陸地震については、同地震のアナログ検潮記録を用い、津波波形モデリングから断層のすべりを推定した。1896年明治三陸地震のすべり量は、2011年東北地方太平沖地震の同じ震源域で半分程度であったことが分かった。また、ペルーリマ市沖で発生した1746年の巨大地震を想定した津波波源モデルによる、リマ市カヤオ地区における津波浸水シミュレーションを実施した。 千島海溝南部(北海道沖)で発生する超巨大地震の発生サイクルモデルを構築した。十勝沖地震と根室沖地震のアスペリティを設定した。さらに、最近の地殻変動解析により海溝付近にすべり欠損があることから、海溝付近に大きなアスペリティを設定した。アスペリティー内では速度弱化、それ以外の領域では速度強化の性質を与えた。また、摩擦発熱による間隙圧増大による強度弱化(Thermal pressurization)も考慮した。シミュレーション結果から、およそ100年間隔で発生する十勝沖地震と根室沖地震と、およそ400年間隔で発生するMw8.8の地震を再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プレート境界形状を考慮した2011年東北地方太平洋沖地震の津波波形インヴァージョン解析によるすべりの時空間分布の推定、1896年明治三陸津波地震の津波波形モデリング、千島海溝南部で発生する超巨大地震発生サイクルモデルの構築等、重要な成果をあげており、順調に進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究を基に、予定通り、(1)東北地方太平洋沖における地震発生サイクルと津波生成の統合モデル、(2)千島海溝における地震発生サイクルと津波生成の統合モデルの構築を進める。当初予定していたペルー沖や房総沖等は、観測情報が少ないので、限られた情報に基づくモデル化を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GPGPUワークステーションを予定よりも低価格で購入したこと及び研究支援のための非常勤職員の雇用期間が短かったために、当該助成金が生じた。翌年度の研究費と合せて、研究支援のための非常勤職員雇用やプログラム高速化のための役務に使用する予定である。
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