2012 Fiscal Year Annual Research Report
地震断層における熱圧化履歴の地球化学的・岩石学的評価
Project/Area Number |
24340127
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 剛志 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, グループリーダー (30270979)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 地震断層 / 地球化学 / 微量元素 / 同位体 / 熱圧化 / 流体 / 断層滑り |
Research Abstract |
1.台湾チェルンプ断層(TCDP掘削コア試料)および中央構造線安康路頭で採取された断層岩・母岩の微量元素分析を行った。TCDP試料からは、地震時の高温の流体岩石相互作用により、リチウムやセシウム等、既に含有率の変化を明らかにしていた元素のみならず、ヒ素やモリブデンの含有率にも変化が生じていることが明らかとなった。ただし、より明快なデータを得るためには母岩に含まれている炭酸塩を取り除いてから再分析する必要があることも明らかとなった。 2.地球深部探査船「ちきゅう」による東北地方太平洋沖地震調査掘削(JFAST)に乗船研究員として参加し、掘削コア試料と間隙水を採取した。断層岩を含む岩石試料は、本事業で新規導入した精密破砕機(マルチビーズショッカー)で粉末化し分析の準備が整った。間隙水についてはストロンチウム同位体比、ホウ素同位体比の測定を行い、複数の水起源物質の存在、およびプレート境界断層付近における流体岩石相互作用の変化を示唆する予察的なデータを得た。間隙水に関する成果については国際学会であるAGU Fall Meeting(サンフランシスコ)で発表を行った。 3.断層岩の地球化学的分析に基づき地震時の断層における流体岩石相互作用についてこれまでに得られた知見を論文にまとめて学会誌に投稿し、掲載された。また、中央構造線安康路頭の断層岩の分析に基づき原岩を推定した成果を論文として投稿し、受理された。さらに、断層岩の地球化学的解析の基礎データとなる海洋地殻断面のホウ素同位体比の分布に関する成果が国際誌に論文として掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度に東北地方太平洋沖地震調査掘削(JFAST)に参加して試料を採取したことで、2011年東北大震災で巨大津波を起こした断層帯における流体岩石相互作用の研究を行うことが可能となった。この点で本研究は当初の計画以上の展開を見せている。JFASTに関するものを含め、本研究の成果は学会誌への掲載、国際学会での発表で順次公開しており、研究の進展はおおむね順調であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
東北地方太平洋沖地震の断層帯の研究は当初計画していなかったものであるが、その科学的・社会的重要性に鑑み今後重点的に取り組みたい。その分、水熱実験を用いた研究に充てる時間が限られてくるが、H25年度に当研究所へのディクソン型水熱実験装置の導入が決定したため、水熱実験はそれを待って開始することとする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
テフロン器具,薬品の購入に充てる。
|
Research Products
(7 results)