2013 Fiscal Year Annual Research Report
オルドビス紀前期に揚子地塊で生じた地球生物相の大変革‐陸と海の相互作用系の創出‐
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24340130
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
江崎 洋一 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60221115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境変動 / 層位・古生物学 / 地質学 |
Research Abstract |
揚子地塊は,「微生物礁から骨格生物礁への構築様式の転換」や「オルドビス紀生物大放散」が世界に先駆けて開始した特異な地域である.本研究の目的は,これら「顕生累代のおける地球生物相の大変革」の背後要因を解明することである.平成25年度の成果は次の通りである. 1. 中国湖南省に分布する下部カンブリア系(清虚洞層)の「石灰微生物礁の形成様式」を解明した.とりわけ,石灰微生物類の構成と組合せに基づき, 礁の構築様式を明らかにした.さらに,古杯類礁の消滅要因(世界的な海退現象,大規模火成活動に起因する海洋環境の無酸素化・硫化事変など)ならびに,直後の石灰微生物礁発達の地球生物学的な意義を考察した. 2. 揚子地塊のカンブリア紀礁との比較のために,北中国地塊に属する山東省莱蕪地域の中部カンブリア系(張夏層)中の“普通海綿・サンゴ礁”の形成様式を調べた.anthaspidellid海綿は,サンゴ(Cambroctoconus orientalis)に付着場所を提供したのみならず,その分解作用に起因したミクライトやペロイド状皮膜が,骨格生物同士の被覆・結束作用を促進した.サンゴは,Drumian期のcryptobiontsであり,刺胞動物の初期系統関係を考える際に重要な情報を提供する. 3. 骨格生物礁での「枠組み構築様式」を明らかにするために,四射サンゴに認められる「極形的な形態形成の解明」や,六射サンゴで代表される「群体形成様式の本質的な理解」に努めた. 4. 今後,沖合や陸域で堆積した先カンブリア系最上部からオルドビス系下部の岩相,含有元素,微化石等の検討を行ない,当時の海陸分布や海洋循環システムを復元し,栄養塩類の生産・供給・循環様式を再現する「物質収支モデル」を構築し,当時の生態系内での物質やエネルギーのやりとりを動的・定量的に解析していく必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の箇所で野外調査を行ない,とくにベンド紀からカンブリア紀の礁の産状に関する基礎的なデータや試料を獲得できた.その後の室内作業を通じて,オルドビス紀前期に揚子地塊で生じた地球生物相の大変革に関する新たな知見を得,今後の研究の方向性や作業仮説を獲得することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査での基礎的な観察データを重視しながら,巨視レベルから超微視レベルに至る観察や化学分析作業を綿密に進めていく.さらに,そこで得た知見を,今後の野外調査や仮説の再構築に活かし,オルドビス紀前期に生じた「地球生物相の大変革」と「陸と海の相互作用系の創出」に関する考察を深めていく予定である.
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Research Products
(25 results)