2013 Fiscal Year Annual Research Report
微量元素をプロキシとした初期原生代の大気酸素上昇パターン解明
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24340132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 隆 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00253295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452792)
鈴木 庸平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00359168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大気進化 / 風化 / 微量元素 / 古土壌 / 低酸素 |
Research Abstract |
25-20億年前の初期原生代に地球史上最大の地球表層環境変動イベントが起こった。微量元素(V, Cr, Co, Ni, Cu, Zn, Mo)は様々な酸化還元ポテンシャルを持つので、当時の大気酸素濃度に応じ、それぞれ特有の挙動を示すことが期待できる。一方、これらの微量元素の海洋での濃度は大陸からの流出を直接反映していると考えられ、生物進化との関連が議論されている (1)ヒューロニアン累層群(24.5-22.2億年前)の微量元素 ICP-AES & -MSにてV, Cr, Ni, Cu, Zn, Moの濃度を、参照にFe, MnをXRFにて測定した。3つの大氷河期があり、酸素は氷河期の後、上昇したという説と、硫黄同位体から示唆される2回目の氷河期の後(23億年前)の酸素上昇という説、及びその双方考慮しながら、微量元素濃度の変遷を解析した。微量元素濃度の変遷は、大氷河期の度に酸素が上昇したというより、硫黄同位体から示唆される酸素上昇の時期と整合的であった。即ち、Fe, Vは変化せず、Mnは減少し、Mo, Crは増加した。一方、Cuは一貫して低く、またNi, Znは上記の事象と関連した変化をしていなかった。 (2) 微量元素の大陸と海洋での濃度変動の相関 古土壌から推定される微量元素の大陸での保持、海洋への流出はより大きな時間スケールでの変動となる。サンプリング頻度が高いので、海洋での濃度は、より微細な変動をとらえている可能性がある。しかし、ヒューロニアン累層群で観察された長時間での変動では、Mn, V, Niのみが古土壌から推定と一致し、他は整合的ではなかった。海洋堆積物の元素濃度の増減を直接的に大陸風化と関係づけることは、再検討すべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微量元素の大陸と海洋での濃度変動の相関については、さらに検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
硫化鉱物の低酸素での溶解速度、それと呼応する微量元素の放出速度の定量化を行い、風化モデルにこれらを組み込み、大陸からの微量元素の流出速度を定量化し、昨年度までの観察データと比較し、新たな大気酸素進化モデルを提唱する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酸素分圧コントロール不良のため、一部実験が遅れた 酸素分圧コントロールのためのアルゴンガスの購入
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Research Products
(5 results)