2012 Fiscal Year Annual Research Report
小型磁気ミラー閉じ込め装置による電子陽電子プラズマの実験研究
Project/Area Number |
24340142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
檜垣 浩之 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10334046)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電子陽電子プラズマ / 磁気ミラー閉じ込め / 非線形波動 / 低エネルギー陽電子 |
Research Abstract |
交付申請書記載の「研究の目的」は、「研究代表者が新規に開発した静電バリア付き小型軸対称磁気ミラー閉じ込め装置の性能を評価したうえで、当該装置を用いてこれまで理論的にしか研究されてこなかった電子・陽電子プラズマの特性を実験的に研究すること」となっており、研究初年度である平成24年度は主としてその前半部分を実施した。 交付申請書の「研究実施計画」では、平成24年度は 1.広島大学で非中性電子プラズマを閉じ込め、その静電波振動や、ソリトン波の実験を行うこと2.理化学研究所において磁場コイルとガス導入系をもつ真空容器を用意したうえで、真空容器内に電極を多数設置して電位を形成できるようにした陽電子蓄積装置を整備すること が具体的な内容となっている。項目1については、新たに開発した小型軸対称磁気ミラー装置を用いて、単純磁気ミラーで閉じ込められた約2x10^7個の電子からなる非中性電子プラズマにおいて、初めてそのプラズマ振動やソリトンの伝播を計測することに成功し、当該装置が電子・陽電子プラズマの実験研究に使用可能であることの原理実証実験に成功した。得られた結果は査読論文(Appl. Phys. Express 5 (2012) 106001:研究代表者筆頭共著)として公表すると共に、プラズマ核融合学会で報告した。 一方、項目2については、これまでに磁場コイルとその電源、真空容器、真空排気システム等、主要な物品はほぼ購入済みであり、低エネルギー陽電子減速用のガスセルや多重リング電極からなる陽電子蓄積部も組み上げ済みである。電子・陽電子プラズマの実験に必要不可欠な低エネルギー陽電子蓄積に向けて着実に進展しているといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記したとおり、研究初年度は交付申請書の研究実施計画(平成24年度)にほぼ即した形で「研究の目的」の前半部分を実施することができた。「研究の目的」の後半部分を実施するために必要な低エネルギー陽電子蓄積装置も間もなく完成することから、概ね研究計画通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度交付申請書の研究実施計画(平成25年度)にあるように今後は蓄積装置を備えた低エネルギー陽電子源を用いて10^8個の低エネルギー(<leV)陽電子の蓄積を目指し、種々の実験パラメーターを最適化していく予定である。 本年度の実験結果から少なくとも2×10^7個の低エネルギー陽電子を蓄積することが望まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は研究計画調書と比べて期間全体にわたって研究経費がかなり減額支給されており、初年度に購入予定であったクライオポンプ2台のうち1台は入手できていない。次年度も少額の真空部品や電子部品ならびに旅費も含めて不足気味であることから、初年度のわずかな残額は次年度の不足分を補う意味で研究遂行に必要不可欠である。
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