2013 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアル細胞活性解析を用いた細胞超活性プラズマの創成
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24340143
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古閑 一憲 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (90315127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ / バイオテクノロジ / 細胞活性 / コンビナトリアル解析 / プラズマ生体応用 / 植物成長促進 |
Research Abstract |
本研究では、プラズマ生体応用の新世代研究対象である生体細胞を対象として、申請者が最近見出した、プラズマ照射による細胞増殖加速のメカニズムを解明して、複数回のプラズマ照射による指数関数的な細胞増殖加速を実現する「細胞超活性プラズマプロセス」を創成することを目的とする。本研究で申請者が新しく創成する『細胞超活性プラズマ』とは、複数回のプラズマ照射により、細胞活性化を重畳して細胞増殖を加速度的に早めることである。これを実現するために、(1)コンビナトリアル細胞活性解析法の開発、(2)プラズマ-細胞相互作用による細胞増殖活性メカニズムの解明、(3)細胞超活性プラズマの創成について研究遂行する。 平成25年度は、平成24年度に開発したコンビナトリアル細胞活性解析法を用いて、植物の種子を対象に、空気中放電下でのコンビナトリアル解析を行った。カイワレの成長促進効果の時間推移を評価したところ、種子への1回の空気プラズマの照射により、成長促進効果が1週間程度維持することを明らかにした。また、放電で生成されたオゾンとNOxの濃度の空間分布を計測し、カイワレの成長促進効果とオゾン濃度・NOx濃度との間に相関がみられないことを明らかにした。次に、カイワレの種子へのプラズマ照射時に、水を加えた場合の成長促進効果を評価した。水量を一定にして、水面から種子までの深さを変えてプラズマを照射したところ、種子が水面に近いほど、種子に直接プラズマを照射した場合に近い成長促進効果がえられた。これらの結果は、プラズマで発生した短寿命の活性種による直接的な成長促進効果は見られないこと、また、プラズマ照射により、植物内ホルモンの分泌が変化して成長促進につながったことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、プラズマ生体応用の新世代研究対象である生体細胞を対象として、プラズマ照射による細胞増殖加速のメカニズムを解明して、複数回のプラズマ照射による指数関数的な細胞増殖加速を実現する「細胞超活性プラズマプロセス」を創成することを目的として、(1)コンビナトリアル細胞活性解析法の開発、(2)プラズマ-細胞相互作用による細胞増殖活性メカニズムの解明、(3)細胞超活性プラズマの創成について研究を行っている。 H24年度は当初の予定通り、コンビナトリアル細胞活性解析法の研究開発を行い予定としていたH25年度初旬よりも早く開発に成功した。H25年度は交付申請書に記載した予定通り、研究項目(2)プラズマ-細胞相互作用による細胞増殖活性メカニズムの解明について、主に植物の成長促進に対するプラズマ照射の効果を、プラズマから発生した活性種の観点から評価した。その結果、プラズマで発生した短寿命の活性種による直接的な成長促進効果は見られないこと、また、プラズマ照射により、植物内ホルモンの分泌が変化して成長促進につながったことを示唆しする結果を得た。この結果は、プラズマ-細胞増殖活性メカニズムの解明につながる重要な知見であることから判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の予定通り研究項目(2)プラズマ-細胞相互作用による細胞増殖活性メカニズムの解明をH25年度に引き続き研究する。H25年度に得た、プラズマ照射による植物内部のホルモン分泌等が変化して成長促進が誘起されたことを示唆する結果を受けて、プラズマ照射による成長促進効果について生化学的な面から明らかにすることで、プラズマによる植物細胞メカニズムを明らかにする。 研究推進のためには、植物細胞の内部物質の分泌状態を明らかにする必要がある。ホルモンについては、計測が非常に難しいため、外部に評価依頼して対応する。外部評価では、予算の関係上サンプル数が限られるため、植物ホルモン以外の物質、例えばATP量などの計測を行うため、今年度、プレートリーダーを購入する。 また、つぎのような下記の項目について研究を行う。(1)植物種による成長促進効果の違いを明らかにする。(2)特定のガス雰囲気下でのプラズマ照射による成長促進効果の評価を行い、成長促進に効果をもつ活性種を同定する。(3)照射後の種子の栽培開始までの時間の影響を評価して、プラズマ照射による細胞成長促進効果の保持能力を明らかにする。 以上のような研究を行い、プラズマ照射による細胞増殖促進メカニズムを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度、吸光計測可能なマルチプレートリーダーを購入する予定であったが、研究遂行上吸光・蛍光・発光について計測する必要が出てきたため、H25年度の予算内では収まらないことが分かった。残りの基金とH26年度交付予定の予算を合わせて、装置購入に充てるため次年度使用額が生じた。 次年度使用額の使用については、H26年度配分予定の予算と合わせて、吸光・蛍光・発光が測定可能なマルチプレートリーダーを購入する予算として使用する。
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Research Products
(31 results)