2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24350001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 将志 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70348811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 理 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30343156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表面X線回折 / 電気二重層 |
Research Abstract |
固体電極と電解質溶液の界面には、電気二重層と呼ばれるバルクとは異なるイオン分布が存在する。この電気二重層には、強大な電場が生じており、電極反応の駆動力となっている。また、電気二重層における荷電粒子の蓄積を利用したものが、電気二重層キャパシタであり、電気自動車のバッテリーとして期待されている。このように電気二重層は、燃料電池などの反応場や二次電池のエネルギーストレージとなっている。より高活性な電極触媒や高容量のキャパシタ材料が求められており、原子レベルでの電気二重層構造の理解が重要となっている。とくに電極表面に直接吸着したイオン種の構造などは、赤外分光法や走査型トンネル顕微鏡を用いて非常に詳細なことも分っている。しかし、静的な構造決定だけでなく、電気二重層内の動的挙動の理解も重要である。電気二重層内のイオン種は、充放電電流の起源や電極反応の駆動力など電気化学の本質に関わっているが、どれくらいのタイムスケールで電気二重層内にイオンが蓄積・放出されるかなど詳細は分っていない。これまでにも分光学的な手法による吸着層のダイナミクス研究は多いが、回折法などを用いた界面の全体構造に主眼をおいた研究は皆無である。そこで本研究では、X線回折法およびステップスキャン赤外分光により、イオン層の構造の解明および動的構造変化について調べることを目的とする。 平成25年度では、昨年度の構築した時分割X線回折測定システムを用い、Ag(100)電極上のCsイオンの動的挙動を追跡した。電極電位によりCsイオンはの量や表面からの距離が変化するが、この動的変化は過渡電流の一部と一致することが判明した。また、放電過程より、充電過程の方が時間を要することが分り、電気二重層内での水分子の構造が関与していることが明らかとなった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時分割表面X線回折測定システムを構築し、このシステムを用いてAg(100)電極界面のCsイオンの動的過程を追跡することに成功した。時間分解能については、当初の目標では、サブμsを目指していた。Csイオンの変化によりX線回折強度の変化は、数百μsから数十msで起こるため、本システムの性能を評価するためには、さらに速い動的変化が起こる電極系で実験する必要があるが、汎用的な金属水溶液界面では、十分な測定精度を有している。以上から当初の予定通りの達成状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、本時分割システムを電極反応に応用する計画である。具体的には、Au電極上での金属析出について、金属イオンの動的過程を追跡する予定である。広い逆格子領域での時分割回折強度を測定し、界面構造変化のスナップショットを完成させる。
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Research Products
(5 results)