2013 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロスプレー-レーザー誘起蛍光法による孤立状態イオンのダイナミクス観測
Project/Area Number |
24350011
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
本間 健二 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 教授 (30150288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 剛昭 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (30360051)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エレクトロスプレー / イオントラップ / レーザー誘起蛍光 |
Research Abstract |
生体高分子などの質量分析に広く用いられているエレクトロスプレーイオン化法と、レーザー誘起蛍光法を結びつけて、これまで孤立分子状態で発光観測が行われてこなかった錯イオンや生体高分子イオンなどの化学種を、発光観測する手法として確立することを目指して研究を進めた。 昨年度、既存のエレクトロスプレー-イオントラップ-飛行時間型質量分析装置を改良し、保持できるイオン密度を上げ、イオントラップを極低温に冷やすことによって単一量子状態密度を上げることを目指した。光解離過程をモニターすることで、吸収スペクトルを観測することには成功したが、発光を観測することはできなかった。そこで、本年度の課題は、イオントラップに更に高密度のイオンを保持することにあった。そのために、(1)昨年うまく動作しなかった、イオンファネルを改良し、イオントラップへ導くことのできるイオン量を増やす、(2)エレクトロスプレーイオン化以外の、高密度にイオンを生成できる方法を導入する、ことを計画した。 イオンファネルはRFパワーを上げるなどの改良により、これまでより数倍高い濃度のイオンをイオントラップへ導くことができるようになった。Ru(bpy)32+の発光の観測を試みたが、トラップ中のイオンの有無によらずかなり寿命の長い発光が観測された。これは、イオントラップの内壁の汚れなどを観測している可能性もあり、光学系の調整と頻繁な洗浄が必要であることが明らかになった。年度末に、真空ポンプが故障したためにイオントラップへ保持できる濃度の測定、レーザー励起発光の測定は実現していないが、新年度に入り次第、成果を検証することができると期待している。 一方、短波長レーザーを購入して、エレクトロスプレー以外のイオン源を導入する計画は、新年度に持ち越しとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イオンファネルの改良は計画通り進み、期待された効果があることが明らかになってきた。しかし、真空ポンプ(ターボポンプ)の故障で、その後の進展が止まってしまった。修理に時間を要しているので、今年度の予定からは、やや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的計画は間違っていないと考えられるので、多少遅れているが予定通り進める。イオンファネルは改良によって、効果が明らかになったが、現有電源のさらなる改良が必要となる可能性は考慮する。また、極低温のイオントラップは内壁が汚れる可能性があるので、まず室温での測定を予定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
エレクトロスプレーイオン源以外のイオン源として、短波長レーザーの購入を本年度予定していたが、エレクトロスプレーイオン化法に進展が見られたこと、短波長レーザーの価格が計画より高くなったことなどから実行しなかった。 エレクトロスプレーイオン源のさらなる改良(イオンファネルの電源のパワーアップ、レンズ系の改良)と、蛍光の集光系に改良を加えるために一部を使う予定である。
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