2013 Fiscal Year Annual Research Report
単分子素子の機構解明を先導する機能性π電子系の創製
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24350025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
家 裕隆 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (80362622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 恒夫 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (30345095)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成化学 / 分子ワイヤ / 分子素子 |
Research Abstract |
研究の全体構想は有機合成化学・構造有機化学に基づく機能性π電子系の創出を通じて、単分子エレクトロニクス実現の基盤となる学術的知見を得ることである。この中で本基盤研究では、単分子素子において不可欠な構成ユニットである“分子導線”“アンカー”の開発を目的としている。これまでにチオフェンβ位への5員環縮環が高い共役平面性の保持に有効であることを明らかにしている。また、スピロ構造で2,7位に置換基を持つフルオレン環を導入すると、オリゴチオフェンの共役平面に対して上下方向にフルオレンが固定される結果、2,7位の置換基が分子間相互作用を遮蔽する置換基として効果的に機能することも見いだしている。この知見を基に、昨年度までに見いだした2-エチルヘキシル基を持つチオフェンユニットを用いた検討を継続した。その結果、平成25年度は、これらを繰り返しユニットとするチオフェン8量体まで伸長させることに成功した。一方で、鎖長伸長と共に触媒反応の反応性が低下する知見を得た。三脚型アンカー分子に関しては、三脚型の骨格にはこれまでに確立しているテトラフェニルメタン骨格を用いた。これまでの研究から、アンカー官能基として電子求引的なピリジンを用いた場合、電気伝導に分子のLUMOが関与することを見いだしている。そこでこの知見を基に平成25年度は昨年度に引き続き、電子豊富なヘテロ芳香族化合物、および、多縮環芳香族化合物をアンカー官能基として用いることでHOMOが関与するアンカーの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子ワイヤ、アンカー分子、いずれも研究計画どおりの化合物合成を達成している。また基礎物性評価の結果、分子ワイヤに関しては、期待どおりの平面性と被覆効果を有していることが明らかとなった。また、アンカー分子に関しても、概ね期待どおりのキャリア輸送が期待できることが示唆された。これらの結果を踏まえて、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も当初の計画どおり研究を遂行できる状況である。同時に、被覆型分子ワイヤに関して、鎖長伸長と共に反応性が低下してくる知見を得られたため、これを回避しつつ、研究目的を達成可能な誘導体合成の開発も併せて行なう。アンカー分子に関しては、金電極以外の電極に対してもπ接合が期待できる分子開発も行なう。
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Research Products
(15 results)