2013 Fiscal Year Annual Research Report
光異性化反応を利用した新規二核ルテニウムアコ錯体酸素発生触媒群の革新的合成
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24350028
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八木 政行 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00282971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水の酸化触媒 / ルテニウム錯体 / 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、自然界のエネルギー循環に矛盾しないクリーンなエネルギー供給システムとして、人工光合成系が注目されている。人工光合成系の構築において水の酸化触媒の開発は重要であり、水の酸化触媒として働くルテニウムアコ錯体は活発に研究されている。研究代表者は、高効率な水の酸化触媒能を有する革新的な錯体触媒の開発を目指して研究を実施した。研究代表者はこれまで、可視光を照射することにより、ルテニウムアコ錯体の光異性化が化学量論的に進行することを見出した。本研究では、単核ルテニウム(II)アコ錯体の光異性化反応を利用して、新規二核ルテニウム(II)アコ錯体の合成に成功した。二核ルテニウム(II)アコ錯体に水の電気触媒化学的酸化反応を研究した。対応する単核錯体の重水中での電気触媒反応では、酸素生成速度に同位体効果が観察されたのに対し、合成した二核錯体ではほとんど同位体効果が観察されないことが示された。この結果より、二核錯体のアコ配位子から誘導される高酸化状態Ru=Oの分子内カップリングによりO-O結合が形成されることが示された。本研究は、二核ルテニウム(II)アコ錯体の水の酸化触媒機構の解明に重要な示唆を与える結果であり、自然界の光合成酸素発生中心での酵素モデルとしても重要な知見となると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な二核ルテニウム錯体を合成し、水の酸化触媒活性を示すことを見出した。さらに、水の酸化触媒機構に関する新たな実験的確証を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した二核ルテニウム錯体の構造が水の酸化触媒能において重要であることを実証すると共に、錯体の化学修飾により更なる高性能な錯体触媒を設計・開発する。
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Causes of Carryover |
研究室の耐震補強工事のため、研究装置を使用できない時期があったため、研究を一部繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費は、当初の計画通り、薬品類、溶媒類、ガラス器具等の消耗品に利用した。
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[Journal Article] Synthesis, characterization and heterogeneous catalysis for water oxidation of a di-manganese complex with 4'-(4-pyridyl)-2,2':6',2''-terpyridine)2013
Author(s)
H. Yamazaki, T. Ueno , K. Aiso, M. Hirahara, T. Aoki, T. Nagata, S. Igarashi, M. Yagi
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Journal Title
Polyhedron
Volume: 52
Pages: 455-460
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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