2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24350035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 記一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50321906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロチップ / マイクロ流体デバイス / バイオアッセイ / マイクロ透析 |
Research Abstract |
バイオアッセイのための人体モデルの構築に最も重要な臓器・組織のチップ化を試みた。本年度においては特に循環器系のマイクロモデルを中心に研究を進めた。血液に見立てた培養液を各臓器・組織に循環させるための流路を設計し、心臓の代わりとなるポンプを開発した。本システムでは組織ごとに最適な流速を設定して、血液に見立てた培養液の流れによる剪断応力を印加する必要があること、その流れは拍動を持たせる必要があるため、開発するポンプは制御された脈流を生み出すことができなければならない。また、ポンプはデッドボリュームが小さく、生物学的に不活性な素材で作製する必要があるため、これらの条件を満たしたポンプとして、シリコーンゴムの一種PDMS薄膜を空気圧で駆動させるマイクロバルブを複数組み合わせた蠕動ポンプを作製し、その性能を評価した。また、腎臓のうち糸球体からの排泄を模倣したマイクロ透析システムを開発した。透析部は上下2つの流路の間に透析膜を配した構造であり、上下の流路には別々の溶液の流れが印加可能である。このチップを用いてマイクロ人工透析実験を行ったところ、低分子のみが透過可能であり、高分子が保持されることを確認した。一方、血管模倣チップの開発にも着手した。上下2つの流路の間に孔径0.4ミクロンのメンブレンフィルターを挟み込んだチップを開発し、この膜上に血管内皮由来の細胞株を培養することにより、マイクロ血管内皮チップを開発した。血管内側の流路に低分子化合物の溶液を流し外側流路への漏出量を測定したところ、細胞がないときに比べて明らかな物質遮蔽効果を示し、血管内皮としての機能を示しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ循環器モデルの重要なパーツである、循環ポンプ、透析、血管内皮のマイクロモデルの開発をほぼ実現できており、交付申請書に記入した本年度の研究課題の大半は実現されつつあり、おおむね計画通りにすすんでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発した循環器モデルに別の臓器を組み合わせるなどしてマイクロ人体モデルの開発をめざす。これまでに開発が終わっていない部位として毛細血管網を持った三次元マイクロ組織の構築にも着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養に必要なインクベータの追加購入と、極めて高価な初代細胞とその専用培地や、マイクロチップ材料を初めとする消耗品の購入を計画している。
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Research Products
(5 results)