2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24350038
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
火原 彰秀 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30312995)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロ流体 / レーザー分光 / 表面・界面 / 張力波 / 共鳴 |
Research Abstract |
対物レンズで集光した単一光束を用いる準弾性レーザー散乱法(QELS法)により、マイクロ加工した制限空間内の液体表面における界面張力波共鳴を計測し、微小空間での界面張力を得る手法について、検討を進めた。前年度までに、円形や四角形などの二次元制限空間からの共鳴信号を得ることに成功している。平成25年度は、円形制限空間に注目し、その共鳴モードをスペクトルから詳細に解析した。 直径44ミクロンの円形容器での二次元共鳴QELSスペクトルには、異なる共鳴に由来すると考えられる複数のピークが現れた。界面張力波の波長と速度の分散関係を用いて、シミュレーションにより共鳴モードの周波数を計算し、実験的に得た各ピークの周波数と比較した。円形の縁が同位相で振動する(1,0)、(2,0)、(3,0)モードの周波数63.8 kHz、 171.0 kHz、 341.5 kHzの計算値に対して、スペクトル中の49.6 kHz、172.4 kHz、338.4 kHzのピークが対応すると結論した。(2.0)、(3,0)モードが計算値と実験値がよく一致しているのに対して、(1,0)モードでは優位な差が観測されたが、理論上63.8 kHz以下の周波数にはピークは表れないため(1,0)モードに帰属した。この差は、比較的低い周波数では、壁面での非弾性反射などが影響するため現れたと考えられる。また、円形の縁上に節がある(2,1)モードの計算値が253.8 kHzであるのに対して、スペクトル上に247.0 kHzの信号が存在した。熱的に自然発生する共鳴モードには、縁上に節があるモードも存在することが示された。 本研究の目的の一つである「ナノスケール液体表面」の解析へ向け、マイクロスケールでの計測原理が明らかになった点で意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成24年度)には、単一光束準弾性レーザー散乱法のスペクトル形状が、光散乱を角度方向に積分することで得られることを示した。また、二次元制限空間において共鳴に由来すると考えられる信号を得た。第2年度(平成25年度)には、シミュレーション解析などにより、二次元制限空間における共鳴信号の由来を同定した。これらの成果により、数十ミクロン程度の共鳴スペクトルを説明することができた。本課題全体の目標である「ナノスケール」に向けた準備が整ったといえる。第3年度(平成26年度)は、ナノスケールの二次元制限空間からの信号を得て、その特性を解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、予定通りナノスケールの二次元制限空間の界面張力を解析する。ナノスケール界面から信号を得て、その張力を得ることが最低限の目標である。これまでに得られたマイクロスケールの信号から、各共鳴モードへの分配(強度の比)を解析し、ナノスケールでそのルールが適用可能であるのか、また張力そのものがマイクロスケールと連続に議論できるのかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度後半から解析に用いているレーザーのパワーが上昇しないトラブルが生じた。そのため年度終盤にメンテナンスを実施し、交換部品が生じたときのために基金分の予算を残した。最終的には基金分では不足する額の交換が生じたため平成26年度予算での交換を予定している。以上の理由により、平成25年度予算を繰り越した。 平成26年度予算にてレーザーの部品交換を行う。平成25年度からの繰り越し予算については、26年度に使用予定であった物品の購入などに充てる予定である。
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Research Products
(21 results)