2012 Fiscal Year Annual Research Report
基質認識型・超強塩基性有機分子触媒の創製による高度分子変換
Project/Area Number |
24350045
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Section | 一般 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 眞浩 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50217428)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 不斉合成 / 有機分子触媒 / 水素結合 / 塩基 / 触媒 / 分子認識 / 物質変換 / 反応場 |
Research Abstract |
ブレンステッド塩基は酸性プロトンを有する反応基質の活性化剤として多用されてきたが、超強塩基性を備えた有機分子が従来の有機塩基では成し得なかった分子変換において特異な反応活性を示すことが明らかにされ、脚光を浴びるようになってきた。本研究はこれまで触媒としての利用がほとんどなされていなかった超強塩基性有機分子に着目し、これらの触媒としての機能開拓を図るとともに、不斉認識や分子認識など基質認識能を付与した基質認識型・超強塩基性有機分子触媒の設計開発を目的としている。高度分子変換に要求される「先例の無い触媒活性」「高い立体選択性」「回収再使用系の構築」を実現しうる基質認識型・超強塩基性有機分子触媒の設計開発により、分子変換ひいてはプロセス化学にイノベーションをもたらすことを最終的な目標としている。 これまで、超強塩基として知られているホスファゼンに基質認識能を付与することで、本研究の目的である基質認識型・超強塩基性有機分子触媒の設計開発を目指してきた。ホスファゼンはその単位構造であるイミノホスホランの連結数を増すごとに塩基性が向上すること、ならびにイミノホスホランユニットを3つ連結したP-3ホスファゼンの基本骨格がC2対称性を有する触媒分子の設計に適していることに着目し、不斉P-3ホスファゼン塩基触媒の設計開発を進めてきた。その結果、これまで、3つのリン原子上に置換基を導入することが可能なハロゲン置換P-3前駆体の短段階合成に成功し、このP-3前駆体を用いてP-3ユニットを二つ含む18員環の大員環化合物、(P-3)_2ホスファゼン塩基を得ることに成功している。平成24年度は当初の計画を遂行するため、引き続き不斉P-3ホスファゼン塩基触媒の設計開発を進めた結果、スピロ環骨格を有する不斉P-3ホスファゼン塩基の開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでP-3ユニットを二つ含む18員環の大員環化合物、(P-3)_2ホスファゼン塩基を得ていたが、当初目的としていたP-3ユニットを一つ含む不斉ホスファゼン塩基の合成には至っていなかった。平成24年度にその合成に成功し、スピロ環骨格を有する新たなP-3ホスファゼンの開発に成功したが、反応系の検討までには至っていないためので、やや遅れていると評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
P-3骨格を有する不斉スピロP-3ホスファゼン塩基の開発に成功したが、その触媒活性については未知数であるため、平成25年度は触媒反応系の開拓を実施する。新規化合物であり、本来の機能が見いだせない可能性もあるため、グアニジンとホスファゼンを組み合わせた新たな触媒の設計開発も進める。
|
Research Products
(6 results)