2013 Fiscal Year Annual Research Report
エステルの反応性制御による新規で直接的な炭素ー炭素結合構築手法の提案
Project/Area Number |
24350047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 章夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 理事 (20144438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 能弘 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30550115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機化学 / 有機工業化学 |
Research Abstract |
エステルの選択的反応制御法のポイントを同時に確立する。エステルは溶剤や油脂、バイオディーゼル燃料など、安定化に利用される場合が多く、エステル部位を直接的に炭素-炭素結合試剤とすることは容易ではない。エステルは、対応するカルボン酸やアルデヒドに比べて安定な化学原料である。それだけにエステルを直接利用できれば、利便性、安全性や保護/脱保護段階の省略など、その実用的なメリットは計り知れない。 初年度では、エステルを用いた向山アルドール反応が一般的・実用的であることの実績作りに焦点を当てるのに対して、2年目はこの反応が進行する理由と、反応機構の解明に注力する。現時点で、応募者がインジウムの研究で蓄積した知見を基にして仮想的に提案している機構を検証し、以下の反応機構の詳細を解明した。エステルへの、還元剤および触媒の協奏的付加の解明を行った。金属交換により生成した「Et3SiI + HInI2」がエステルに作用していると仮定し、その検証を行った。1H, 13C, 29Si NMRを用いて反応系中を観測し、金属交換が起こっていることが確認できた。アセタール中間体のアルコキシ基へのインジウムの選択的作用の解明を行った。この選択性に関しては、アセタール中間体を別途合成し、ハロゲン化インジウムとの相互作用を分光学的手法で検証した。今後、計算化学を利用して、軌道計算で検証を行う予定である。インジウム触媒によるアルデヒドへのケイ素エノラートの求核付加反応を行った。このアルドール反応が、室温でヨウ化インジウム触媒存在下、進行することについては確認を行った。しかし、反応系中ではアルデヒド中間体は確認できなかったことから、二段階目の反応がかなり早いことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、エステルへの異種求核種置換反応の反応機構の解明を分光学的手法を用いて行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度で得られた反応機構に関する知見を基に、不斉反応への展開を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究テーマであるエステルへの異種求核種置換反応の反応機構解明において、予想通りハロゲン化インジウムとヒドロシランの金属交換が確認できた。そのため、インジウムヒドリドがどのように反応に関与しているかをより詳細に反応機構を解明する必要が生じた。 インジウムヒドリドとハロゲン化シランの相互作用や、インジウムヒドリド自体の単離・物性評価等を行う予定である。未使用額はそれらの検討の費用に使用する。
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