2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハードな配位子を持つ後周期遷移金属ビニリデン種の発生を機軸とする新合成反応の開発
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24350050
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70252591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70396779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キノリノラト配位子 / ロジウム触媒 / 末端アセチレン / ビニリデン錯体 / 活性メチレン化合物 / シクロペンテン類 / アルキン二量化 |
Research Abstract |
末端アセチレンを求電子種としたMorita-Baylis-Hillman型反応の開発を目指して検討を行ったところ、シクペンテン骨格をもつ化合物の合成を触媒的に行える反応系の開発に成功した。この反応では、2分子のアルキンと1分子の活性メチレン化合物が反応し、シクロペンテン骨格を形成する新規分子変換反応である。この新規反応に適用できる化合物を探索するため、多様な型のアルキンや活性メチレン化合物とのカップリング反応を検討した。本反応は芳香族アルキンを用いた場合に効率的に環化反応位が進行した。活性メチン化合物を用いた反応では環化反応は進行せず、末端アセチレン2分子と活性メチン1分子が反応したアレン誘導体が生成した。 また、二分子の末端アセチレンとアミンがカップリングすることによるアミノジエン構造をもつ化合物が生成する反応の開発にも成功した。この反応における生成物は不安定であったことから、生成物をアミンに還元することにより単離した。また、生成物を加水分解することにより、対応するケトンへと変換することも検討した。この反応でアルキルアセチレン類を基質として用いた場合には、比較的低収率であったことから更なる条件検討を行った。その結果、1-オクチンとピペリジンの反応を、キノリノラトロジウム錯体 とP(4-CF3C6H4)3 を触媒として用いてCsF 存在下DMA 中80 ℃で行ったところ、アルキン二分子とアミン一分子の付加反応によるアミノジエンが生成した。このアミノジエンは単離精製が困難であったことから、続けて還元や加水分解を行った。1-オクチンとピペリジンの反応後、シアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元を行った場合にはエキソメチレン部位をもつアリルアミンが収率41%で生成し、また酢酸による酸加水分解を行った場合には対応するエノンが位置異性体の混合物として収率75%で得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した反応とは形式が異なる反応であるが、有機合成化学においてより有用性が高い化合物を効率的に合成できる反応を開発することができた。また、当初の計画には入っていなかった新形式でのカップリング反応の開発も達成できており、最終年度に向けてのさらなる展開の端緒を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に見出した2分子のアルキンとアミンのカップリング反応の基質適用範囲の拡大ならびに反応の選択性向上を目指して、様々な添加物の検討や配位子の検討を行う。さらに、異なるアルキンの共二量化反応を選択的に進行させることが可能となる触媒系の開発を目指して検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度に予定していた研究課題に関連する研究成果が平成25年度に見出された。そこで、これまでの検討で研究成果を得難いと判断した研究課題については、多くの知見を集めた後に行うことにより研究目標を達成するのが良いと判断した。そのため、一部の研究課題を最終年度である平成26年度に検討することにした。また、これまでに開発した反応をさらに展開することにより、当初の計画よりもより有意義な研究成果が挙げられると判断できたので、最終年度にこれまでの反応のさらなる展開を行うために予算を使用することが有効と判断した。 最終年度である平成26年度は、できるだけ多くの反応が検討できるように、反応容器を多く購入する。反応機構に関する研究を行い、反応を円滑に進行させるために重要な情報を収集する。そのために、NMRスペクトルで反応を追跡するなどの工夫を行う。このためには、重水素化溶媒を多く使用する必要が生じるので、それら溶媒の購入費に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)