2012 Fiscal Year Annual Research Report
ネマチック液晶場におけるポリペプチド極性構造の自発的創生の解明とその利用
Project/Area Number |
24350054
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 順次 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90111666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂尻 浩一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特任准教授 (90402213)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 極性構造 / 液晶 / ポリペプチド / らせん構造 |
Research Abstract |
生物組織を構成する代表的な繊維状たんぱく質であるコラーゲンは自発的に極性構造を形成する。一般的には、分子は極性を打ち消した構造を形成するため、この事実は生体分子が生物学的な役割を果たしていることと密接に関係していると考えられる。理論によれば、棒状の分子が大きな双極子をもつことによって、極性構造が発現すると理解されている。本研究課題では、大きな双極子モーメントを分子長軸方位に持つ棒状のα-ヘリカル・ポリペプチドが液晶状態で極性ネマチック液晶を形成するという現象について、その典型的な高分子であるポリグルタミン酸エステルを用いて明確に示すとともに、極性構造を利用した機能材料の創生や生物学的意義の解明に取り組む。 初年度である今年度は、研究実施計画通り、ポリ(γ-ベンジルグルタメート)の(1)分子量、(2)濃度、(3)温度、(4)溶媒と極性構造発現との相関を明らかにした。具体的には、(1)大きな双極子モーメント、すなわち高分子量化によって、極性構造が発現すること、(2)(3)高濃度または低温、すなわち密度の増大が極性構造を安定化させることを明らかにし、理論と対応していることを示した。また(4)理論で考慮されていない溶媒との相互作用が重要であり、極性構造発現には芳香族溶媒または極性溶媒が必要であることを明らかにした。溶媒分子との相互作用は(5)側鎖種によって変わることが予想され、種々のポリグルタミン酸エステルを合成した。当初計画では、側鎖ベンジル基を拡張したフェニルアルキル基を導入し、側鎖アルキル炭素数の偶奇のみを調査する予定であったが、芳香環をもたないアルキル基を導入したポリグルタミン酸エステルを含め検討を行うことができた。その結果、ポリグルタミン酸エステルの極性構造は側鎖に芳香族部位を有し、かつ側鎖アルキル炭素数が奇数の時に発現することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記したように、当初計画に加え、側鎖種の詳細な検討を行うことができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に沿って、本研究課題を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額(次年度使用額)を主要な化合物の大量合成にあてる。また当初の次年度交付予定額については、予定通り次年度の実施計画を遂行するために使用する。
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Research Products
(5 results)