2014 Fiscal Year Annual Research Report
つる巻き重合法を駆使した高機能アミロースからの超分子バイオベース材料の構築
Project/Area Number |
24350062
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (30241722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 和哉 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40347084)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | バイオベース材料 / 酵素反応 / 超分子 / アミロース / フィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者が開拓してきたホスホリラーゼ酵素触媒重合場においてアミロース-高分子包接錯体を合成する手法(“つる巻き重合”)を利用して、超分子構造を基盤とする新規バイオベース材料の構築を行った。つる巻き重合におけるゲスト高分子の疎水性は、ゲスト高分子がアミロースに包接されるための重要な因子である。そこで、つる巻き重合のプライマーをゲスト高分子(ポリ乳酸、ポリTHF)に修飾したプライマー‐ゲストコンジュゲートを用いたつる巻き重合により超分子ポリマーの構築を試みた。合成したコンジュゲート存在下、つる巻き重合を行ったところ、プライマーから伸長したアミロース鎖が他のコンジュゲートのゲスト高分子部位を互いに包接し、錯体構造で連結した超分子ポリマーが得られることが分かった。種々の構造解析結果やGPCによる分子量測定結果から高分子量の超分子ポリマーの形成が確認された。ポリTHF含有コンジュゲートからの生成物からはフィルムが得られた。また分岐構造を有するプライマー‐ポリ乳酸コンジュゲートを用いて得られた超分子ポリマーからはイオン液体とのイオンゲル形成が可能であった。このイオンゲルを水に漬浸することで分散媒交換を行いヒドロゲルへと変換した。さらにこのヒドロゲルの凍結乾燥により多孔質構造を有するクリオゲルが得られた。直鎖状のプライマー‐ポリ乳酸コンジュゲートを用いた生成物はゲル形成を示さず、分岐構造に由来する三次元的なネットワーク構造により材料としての特性に優れたバイオベース超分子材料が得られたことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、ゲスト高分子とプライマーをブロック的に結合させたプライマー‐ゲストコンジュゲートを用いてつる巻き重合を行うことで、超分子バイオベースイオンゲルやヒドロゲルゲルに調製可能なバイオベース超分子材料が得られ、これらの機能評価を行った。また、多孔質状のクリオゲルへの変換も達成した。これらの材料はある程度の優れた特性を示した。このことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果で得られた材料はある程度の優れた特性を示したが、実用には十分でなかった。そこで、当初の計画通り、グラフト共重合体を用いるつる巻き重合への発展によるネットワーク超分子の創製を検討し、さらに優れた性質を有するバイオベース超分子材料を構築する。特に、水溶性天然ポリペプチドであるポリグルタミン酸を主鎖に用い、種々のゲスト高分子をグラフトした系に発展させることで、多糖‐ペプチド(タンパク質)ハイブリッド超分子材料の構築を目指す。材料としての特性評価を目指してゲルやフィルム状への加工可能な超分子の創製を目的とする。また、自己修復能など超分子としての特性を生かした機能発現も検討する。
|
Causes of Carryover |
原料合成がスムーズに行われ研究が順調に進んだため、有機試薬や有機溶剤等の消耗品の使用を当初予定より削減することができ、次年度に繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、この金額も合わせて使用し、多種類のゲスト高分子をグラフトしたポリグルタミン酸グラフト共重合体を早急に合成し、つる巻き重合に用いることで、すみやかに成果を挙げる予定である。また、多くの学会発表を行い広く研究成果を発信するための経費に使用する予定である。
|