2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖認識環状ホストを部品とするカプセル型高次構造とアロステリックな分子認識系の創製
Project/Area Number |
24350066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 肇 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (10324055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エチニルピリジン / 大環状化合物 / 糖 / ホスト・ゲスト化学 / カプセル型分子 / 薗頭反応 |
Research Abstract |
本研究で構築を狙うカプセル型分子のパーツとなるエチニルピリジン大環状ホスト分子1について「合成・取り扱いが容易であること」「エフェクターとする糖質と効果的に会合できること」という要件を満たすように設計・合成の実現と、続いて設計図や合成法の改良に取り組んだ。まず、大環状分子を効率的に得るために、環化反応における反応位置の置換基や反応の条件を最適化した。すなわち、向きが反転したピリジン環を交互に配置することで、環化に必要なシソイド配座を有利とし、薗頭反応により大環状分子1を得ることができた。 この大環状ホスト分子1では、環の内側を向いた窒素原子が、糖質を水素結合により捕捉するための結合点となった。そのため、1の内側の二次元的な空間は、糖質を取り込みながら会合することが分かった。設計・合成された1がまず単分子で糖質とどれだけ確実に会合できるか、NMRの手法を用いながら滴定実験により定量的に評価したところ、72L/molの会合定数によりオクチルグルコシドを認識できることが分かった。さらに糖質と会合したときにCD活性があらわれ、会合によりエチニルピリジン環の構造がキラルに歪むことが分かった。 続いて1をパーツとして自己組織化させカプセル型分子を構築するため、1の環の外側を向いた窒素を橋頭墨に、金属イオンやp-キシリレン基による架橋を試みたが、現時点では効率の良い結合生成法が見つかっていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の欄に上記したように、エチニルピリジン大環状ホスト分子の設計に基づき、化合物を実際に合成する手法が確立した。この合成法により、任意の側鎖を有する大環状ホスト分子を得ることが可能となっており、研究の基盤のひとつが確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
合成に成功したエチニルピリジン大環状ホスト分子について、カプセル型高次構造へと組み上げる手法を検討、確立する。その上で、得られた高次構造の特性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは消耗品費にあてる。有機合成および分析のための試薬、触媒、溶媒、クロマト担体、ガラス器具、汎用機器類などの購入に費やす。旅費として、研究成果発表のため、関連学会へ参加するための費用にあてる。大学院生より実験補助を受け、謝金を支出する。その他、大学内の共通機器を利用するための利用料を使用する。本年度、実験スケジュールの都合により生じた残金は、次年度の消耗品費として使用する。
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Research Products
(9 results)