2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖認識環状ホストを部品とするカプセル型高次構造とアロステリックな分子認識系の創製
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24350066
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
阿部 肇 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (10324055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カプセル型分子 / 糖認識 / トリフェノール / ピリジン / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で目的とする糖認識カプセル型分子の構造を設計する過程の中から、ピリジン環を持たせる母骨格として、申請者が以前に開発したトリフェノール型ホスト分子 (Abe, H.; Aoyagi, Y.; Inouye, M. Org. Lett., 2005, 7, 59-61.) を有望と判断し、検討を続けている。このトリフェノール型ホスト分子にピリジン環を3個導入して三座配位子とし、Pd と 2:3 のモル比で組み合わせると、カプセル型錯体ができるところまで確立した。この成果はすでにいくつかの学会で報告ずみであり、現在、論文として発表するべくとりまとめている。この分子設計や分子構築法を応用し、側鎖により両親媒性を持たせたカプセル型分子や、ピリジン環の代わりに他の配位性芳香環を持つカプセル分子などを試作している。それらの応用は、極性溶媒中でも水素結合性の空間を維持することや、空間の形状を配位子の構造により調整することが目的である。 いっぽう、エチニルピリジン大環状ホスト分子については、その平面構造の自己組織化により、積層構造や、繊維状構造をとることが分かった (Abe, H.; Ohtani, K.; Suzuki, D.; Chida, Y.; Shimada, Y.; Matsumoto, S.; Inouye, M., Org. Lett., 2014, 16, 828-831.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の欄に上記したように、トリフェノール型ホスト分子を三座配位子へ誘導し、その利用によりカプセル型錯体を構築する手法を確立した。三座配位子へ向けた合成経路では、アリール環を連結するために鈴木カップリングを、フェノール環のヒドロキシ基の向きを全て同じく揃えるために熱異性化反応を鍵反応とした。現在は構築したカプセル型錯体の分子認識機能の評価や類縁体の開発の段階まで進んでいる。当初の研究目的で利用を予定していたエチニルピリジン大環状分子については、超分子構造として積層型ファイバー構造をとるなど、カプセルとは別の方向ではあるが、展開が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
トリフェノール型ホスト分子を基礎としたカプセル型錯体について、ホスト分子としての定量的な機能評価および展開を続け、結果を総括する。糖認識の機能が強いことは DOSY測定により見えてきているが、定量性を知るためには滴定実験が必要である。糖認識の強度や選択性について、糖質をゲストとする場合、さらに糖質以外の水素結合性分子をゲストとした場合について、定性、定量的な評価を行う。エチニルピリジン大環状分子を基礎とした積層構造については、すでに大学院生を別に充てて研究を進めており、自己組織化が作る高次構造、および中空における分子認識について展開を続けていく。 研究費の多くは前年度と同様、消耗品費にあてる。有機合成および分析のための試薬、触媒、溶媒、クロマト担体、ガラス器具、汎用機器類などの購入に費やす。旅費として、研究成果発表のため、関連学会へ参加するための費用に充てる。その他、大学内の共通分析機器を利用するための利用料へ充てる。
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Causes of Carryover |
物品の購入時、端数として些少な金額が残ったものです。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
金額は些少なので、通常時の消耗品の購入代金に加える。
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Research Products
(9 results)