2012 Fiscal Year Annual Research Report
垂直配向シリンダー型ナノ多孔膜を反応場とする光合成型光触媒フィルムの開発
Project/Area Number |
24350067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50336525)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機能性触媒 / ナノ材料 / 分子認識 / 自己組織化 / 人工光合成 |
Research Abstract |
本年度は、光捕集色素と金属錯体触媒を連結点に導入した共重合体の分子設計について重点的に検討を行った。 既に我々が開発したポルフィリンを相分離界面に位置選択的に集積化した薄膜について、緑色光合成細菌の光捕集複合体の構造に倣い、ポルフィリン環そのものの配向方向を精密に制御することを目的として、新たに中心金属に対して軸配位するトリアゾールをポルフィリンの直近に1つ導入した両親媒性液晶ブロック共重合体を合成した。まず従来の製膜条件でこの共重合体の薄膜を作製したところ、基板に対して水平に配向したシリンダー型のミクロ相分離構造を与えた。ポルフィリンをフリーベース化した共重合体では、シリンダーが垂直配向した構造を与えたことから、製膜段階で軸配位することが配向方向制御に悪影響を及ぼしていることが示唆された。そこで製膜段階での軸配位を抑制するために製膜溶液にイミダゾールを添加したところ、垂直配向したシリンダー型のナノ構造を作製することに成功した。しかしながら、薄膜の紫外可視吸収スペクトルによれば、ポルフィリンの二量体形成は確認されたものの、長寿命励起子の生成に必要とされるJ会合体の形成は認められなかった。 TMS保護したエチニル基を有するピリジンを末端に導入したポリエチレンオキシドと、アジド基を末端に導入した疎水性液晶鎖をTBAF存在下でClick反応することにより、ピリジルトリアゾール(pyt)を親・疎水鎖の連結点に導入した両親媒性液晶ブロック共重合体を合成した。これに[(cymene)RuCl_2]_2とbpyを反応させることによって連結点にRu(bpy)_2(pyt)を導入したもの、及びK_2PtCl_4を反応させることによってPt(pyt)Cl_2を導入したものを合成したところ、いずれも薄膜中で基板に対して垂直配向したシリンダー型のミクロ相分離構造を維持することが判った。 酢酸セルロースを犠牲層として、以上で得られたポルフィリンまたはpyt錯体を連結点に導入したブロック共重合体薄膜を作製し、紫外線架橋することによって、いずれもナノ自立膜の作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度に予定している、光電流測定および光捕集部と触媒反応部の複合化に用いる両親媒性液晶ブロック共重合体の合成(但し、Re錯体については未合成)と、単独膜でのナノ構造制御をすでに達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では特に計画に遅れはないので、当初の研究計画通り研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定していたフーリエ変換赤外分光装置(Nicolet is5)本体については、他の予算で購入した。残額については次年度の直接経費と合算することにより、合成と薄膜の作製を効率化するために必要な、ガス精製装置付きのグローブボックスを購入する.
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Research Products
(10 results)