2013 Fiscal Year Annual Research Report
光吸収型有機骨格を有する堅固な金属錯体デザインと触媒反応開発
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24350068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 誠 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40273601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ルイス酸は有機合成において重要な役割を果たしており、特に第13族元素であるホウ素は安価で典型的なルイス酸として広く用いられてきた。しかし、ルイス酸性が高すぎるために、その利用には大きな制限があった。その問題を解決するために当研究者は、これまでにかご型ホウ素錯体を合成し、ホウ素のルイス酸性の緻密な制御法を開発してきた。本年度は、そのかご型ホウ素錯体の有機骨格部位に光応答性の官能基を導入し、光によるルイス酸性の制御という新しい概念の確立を目指し検討を行った。複素環骨格に着目し、様々なかご型錯体の合成を検討したところ、光応答性部位として、ベンゾフラン部位を有するかご型錯体の合成に成功した。ベンゾフラン部位では、光照射による酸素原子からの分子内電荷移動が起こることで錯体の電子制御が期待でき、ルイス酸性を緻密に制御することが可能と予想している。これまでのルイス酸性制御法としては置換基の誘起効果や立体効果によるものなどがあるが、光照射を利用したものは報告例がなく画期的な手法となりえる。合成したベンゾフラン骨格含有かご錯体を様々な反応に用いたところ、いくつかの反応で光照射をすることで反応の進行度合いに変化が現れた。このことは予想通り、ベンゾフランからの分子内電化移動により、かご錯体のルイス酸性が変化したことを支持する結果である。また配位子解離反応の結果より、これまでのかご型錯体とは異なる機構で、反応基質の取り込みと生成物からの解離が進行していることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ベンソフラン骨格を有するかご型錯体の合成に成功し、その物性とルイス酸性の評価を行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ベンゾフラン骨格含有かご錯体の光照射によるルイス酸性の変化について、さらなる詳細な検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定通りベンゾフラン骨格含有かご型錯体の合成には成功し、触媒として実際に反応に使用できたものの、単離・同定に予想以上に時間がかかったために、次年度まで繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ベンゾフラン骨格含有かご型錯体の単離・同定を引き続き行っていく。また他のヘテロ環骨格含有かご錯体の合成も進める。そのための試薬類、反応器具類の消耗品に主に繰越金は主に使用する予定である。
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