2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24350069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 裕介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30358270)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 階層的複合化 / コアシェル構造 / 触媒反応 |
Research Abstract |
本研究では、ナノ粒子触媒を階層化して用いることで、エネルギー・環境問題の解決に重要な固体触媒の合理的な調製手法を提案し実証することを目的としている。これまで固体触媒は、主に触媒担体上に複数の触媒活性成分を担持する手法で高機能化されてきた。しかし、この方法では、それぞれの活性成分が意図しない反応中間体と反応したり、お互いが電子的な影響を及ぼしあったりすることで期待した活性が得られないことも多い。そこで、金属または金属酸化物ナノ粒子を階層化したコア-シェル構造またはLB膜を積層させた階層化構造を作ることで、反応中間体を任意の順序で任意の活性点に接触させられる触媒調製手法を開発し、水素発生光触媒系の高機能化ならびに新しい水素化触媒などの開発を行う。このような階層化構造を構築するためには、多孔性のシェルに触媒活性成分を固定化する必要がある。本年度は、メソポーラスシリカーアルミナ上に光触媒反応系において光増感剤または光触媒となる有機分子と種々の金属触媒あるいは錯体触媒を固定化し、その触媒としての利用を検討した。まず、メソポーラスシリカーアルミナの細孔内にカチオン交換反応により有機光触媒を固定化し、シュウ酸を電子源に用いて溶存酸素の還元反応を行った。その結果、量子収率10%という高い効率で過酸化水素が生成することに成功した。さらに、メソポーラスシリカーアルミナの細孔内にカチオン交換反応により有機光触媒と銅錯体を同時に固定化し、光触媒として用いたところ、有機光触媒と銅錯体が協同的に働き、芳香族有機化合物(キシレン)の酸素化反応が効率よく進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノサイズの球状シリカーアルミナ上に効率よく光触媒や錯体触媒を固定化できることを確認した。今後、このナノサイズのシリカーアルミナの中心部に金属ナノ粒子などを内包させることで新しい固体触媒を開発するための礎ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では複数の触媒成分の複合化には成功しているが、階層化はこれからである。今年度は階層化を行うことで単に複台化した場合と比べ触媒性能が飛躍的に向上することを実証することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は効率的に階層化構造触媒を調製できるLB製膜装置を導入する。また、H24年度はどのような触媒反応系が階層化することで高性能化するか、の検討に注力したため、当初予定していた階層化ナノ粒子の調製条件最適化のために必要な反応装置の購入を見送ったが、H25年度に階層化ナノ粒子調製に必要な反応装置を導入する。
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