2013 Fiscal Year Annual Research Report
超分子複合体の凝集変換に基づいた多元的複合センシングデバイスの創製
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24350072
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮田 幹二 大阪大学, 産業科学研究所, 招聘教授 (90029322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤内 謙光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346184)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結晶工学 / 蛍光発光 / 凝集変換 / 分子認識 / 超分子複合体 |
Research Abstract |
本研究ではレアメタルに頼ることなく、入手し易い軽元素(C,N,O,Si,S)のみによって構成され、様々な物理刺激(熱、光、力)および化学刺激(ガス、有機溶剤、イオン等)によって光電特性を劇的に変換する、ダイナミック発光素子の創製を目的としている。異種の刺激を同時に入力することで本研究ではダイナミック発光素子を嗅覚や味覚のような多元的複合センシングデバイスへと応用することを究極の目標とする。 本年度は昨年度に引き続き、多環式芳香族化合物に酸性基を導入した機能団分子を合成した。アントラセンジスルホン酸で置換基の導入位置の違う構造異性体と、ピレン、ペリレンにスルホン酸基を導入した多環式芳香族ジスルホン酸を多数合成した。 合成した多環式芳香族ジスルホン酸とトリフェニルメチルアミンと組み合わせることで、分子骨格依存的な多孔質構造を形成することができた。この形成は単結晶X線構造解析、粉末X線回折、IR等で確認した。 さらに多孔性物質の取り込み能及びその発光特性等を熱重量分析、NMR、蛍光分光分析、発光寿命測定等で検証した。それぞれの多孔性物質は構造依存的に取り込む化学種やガス種に大きな特異性が表れた。また、取り込んだ物質に応じて発光色が大きく変化した。 以上のことより、本多孔性物質をもちいたセンシングデバイスへの応用は非常に有望であると結論付けることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は異種の刺激を同時に入力することで本研究ではダイナミック発光素子を嗅覚や味覚のような多元的複合センシングデバイスへと応用することを究極の目標としている。そのためには様々な物質を選択的に取り込み、特異的に発光を変化させる複数の多孔質物質の開発が欠かせない。本年度は、当初の設計指針に従って多数の母骨格を持つスルホン酸基を導入した多環式芳香族ジスルホン酸を多数合成した。これらを用いて多くの多孔質物質を作成することができた。さらにこれらの物質は取り込んだ化学種に応じて発光を変化させることから、本研究目的に適ったものであるといえる。さらに、吸着脱離によって動的にも構造及び発光を変換することができていることより、概ね本年度の研究目的は達成できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者である申請者は、発光性機能団を有したホスト分子の設計と包接ナノ空間の設計や解析システムの構築を担当し、研究を統括する。研究分担者の藤内准教授と連携研究者の久木助教は、共同研究を行い、分子設計に従いホスト分子の合成と超分子構造や包接ナノ空間の構築、結晶化、X線構造解析を分担する。さらに藤内准教授は種々の光物性・物理物性の測定を担当し、また久木助教は計算化学的手法を用いて物理物性と構造の相関について検討する。 前年度の研究結果を基に、新規の機能団分子を合成する。引き続き、得られた機能団分子と構造制御部位である種々のアミンとを組み合わせ複合体物質を作成し、発光特性・発光挙動について測定する。引き続き本研究の目的である、発光特性・発光挙動について測定する。蛍光分光法により、発光スペクトル、発光量子効率、発光寿命を明らかにする。同様に包接結晶についての研究を進める。さらに包接結晶の形態・構造変化に関しては時間分解X線構造解析を用いて、微小時間における経時差分析を行い、数ミリ秒での構造変化の相関を明らかとする。分子構造・分子集合データと発光特性・発光挙動のデータをコンピュータケミストリーの観点から解析し、発光化学的論理性の確立に努める。また、これらの結果を分子設計および超分子設計にフィードバックする。 最終的に複数の多孔質物質を並列に配置したアレイを作成し、センシングデバイスを作成する。
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Research Products
(10 results)