2014 Fiscal Year Annual Research Report
含ホウ素自律組織体を協働性担体とする金ナノクラスター触媒の開発
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24350075
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久保 由治 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (80186444)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ボロン酸 / 自己組織 / 貴金属触媒 / バイオリファイナリー / レブリン酸 / 凝集誘起発光 / 白色発光粒子 / ナノサーモメター |
Outline of Annual Research Achievements |
含ホウ素自己組織体の性質を引き出す検討と貴金属を担持させた関連複合体の触媒機能を継続して調査した。 1)貴金属担持型ボロネートナノ粒子を触媒利用したレブリン酸の水素化反応:独自のアプローチで達成される当該触媒を環境調和型物質変換系へ適用することを考え,レブリン酸(LA)の化学変換反応に着目した。バイオリファイナリー基幹物質の一つであるLAは炭素利用効率が高い化学原料である。よってLAを利用する化学変換反応の開発は「木質バイオマス」利用の観点から意義深いと判断した。そこで,種々の貴金属担持型ボロネートナノ粒子を合成して,LAの水素化反応を検討したところ、ルテニウム担持型ボロネートナノ粒子が樹脂材料の前駆物質であるγ-バレロラクトンを効率よく生成する触媒として機能することを見出した。 2)発光性含ホウ素自己組織体の調製とその温度応答性挙動:当該含ホウ素自己組織体は,分子部品であるジボロン酸類と多価アルコール類との逐次的ボロン酸エステル化反応から達成される。そこで,その分子部品に発光性を付与させた場合,それが自己組織化を通じてどのような協働的機能創出につながるか,興味深い関連課題である。われわれは,凝集誘起発光(AIE)特性をもつテトラフェニルエチレンにジヒドロキシボリル化を施し,それを分子部品にペンタエリスリトールと逐次的ボロン酸エステル化反応をおこなった。興味深いことに,青色発光性の含ホウ素自己組織粒子を得た。さらにその粒子界面にローダミンB色素を,ボロン酸エステル結合を通じてグラフトさせることに成功した。そのグラフト量のチュ―ニングは白色を含むマルチ発光を導き,得られた白色発光型ボロネート粒子は温度応答性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
階層横断的自己組織化から誘導されるボロネート粒子は,金属ナノ粒子の担持のみならず発光粒子化など,当初の予想を超えたユニークな性質が見つかり,機能化粒子の創製という観点からは研究は大いに進展した。しかし,本題の金ナノクラスター触媒の提案については,高活性な反応系を見出すことに苦戦を強いられている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,ボロネート粒子の調製法を検討していたところ,調製法を工夫したことで,これまでよりも粒径が小さいナノメータースケールのボロネート粒子が得られるようになった。この粒子を担体に用いれば,2 nm未満の金クラスターを担持できるかもしれない。また,粒子自体が軽いので,リアクターの撹拌のよるダメージが軽減して,再利用特性が向上することも期待できる。このような現状分析を踏まえて研究期間を1年延長し(日本学術振興会承認済),金クラスター触媒の高度化を図る。またキラルなボロネート粒子の合成を検討する。
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Causes of Carryover |
2015年3月開催の関連分野の国際会議「Fourth International Conference on Multifunctional, Hybrid and Nanomaterials(Sitges, Spain)」に参加登録をしていたが,希望の口頭発表でなくポスター発表となったため,費用対効果の観点から参加を見送った。そのため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最近,調製条件を工夫することで,従来よりも粒径が小さいボロネート自己組織粒子を得られることがわかった。これをもとに高活性な金クラスター触媒の提案をおこなう。また,キラル担体の調製を継続する。
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Remarks |
延長承認:平成27年3月20日
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Research Products
(11 results)